隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません

23 妨害

 セイラたちはその後もポリウスの各地を周り、瘴気の強い場所を重点的に訪れて浄化を行なった。
 瘴気の少ない街で休息を取り、瘴気の強い場所の浄化を行う。それを何度か繰り返し、必要最低限の浄化を済ませて、セイラたちがいよいよレインダムへ帰る日になった。

 セイラとダリオスは馬車に乗り、レインダムへ向かっている。馬車の少し前をクレアは単身で馬を走らせていた。

「セイラ、よく頑張ったな。これでレインダムへ帰ることができる。あとは妹君の聖女の力が戻っていることを願おう」
「そうですね。私ができることはここまでです……あとはルシアに任せます」

(あの後、王城へ行くこともなくこのままレインダムへ帰ってしまうけれど……あんなことがあった以上、お父様にもルシアにも会いたいとは思えないわ)

 セイラが少し悲しげに微笑みながらそう言うと、向かいに座っているダリオスは、セイラの両手を自分の手で優しく包みこむ。

「セイラはよくやったよ、本当にすごい。行く先々で聖女セイラがポリウスの国民から愛されていることを知って、誇らしかった。そんなセイラをレインダムへ連れて行ってしまうのは、ポリウスの国民に申し訳ない気もしてしまうが……だが、レインダムにとってもセイラは大切な聖女だ。それに、何よりも俺が君を大切に思っている。何度だって言おう、君を手放したくない」

 ダリオスはセイラの両手を少しだけ強く握りしめながら、じっとセイラの瞳を見つめる。エメラルド色の瞳の奥底には熱い思いがほとばしっているかのようだ。

「ダリオス様……ありがとうございます。私の気持ちも変わることなく、ずっとダリオス様のそばにいたいと思っています」
「そうか……よかった」

 セイラの言葉を聞いて、ダリオスはほっとしたように微笑む。そんなダリオスの微笑みにセイラも優しく微笑み返したその時、馬車が急に停止して、窓がコンコンと叩かれた。

「どうした?」


< 51 / 120 >

この作品をシェア

pagetop