極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

29・王妃の危機

 行きは三日の日程を一日と少しに切り詰め、なんとか私たちが聖都に到着したのは、翌日の日暮れ頃。

 道中、ずっとアルベール様は視線を落としほとんど喋らなかった……。
 見かねた私がその手の甲に自分のものを重ねると、ひどく冷たく――彼は頼りなげにぎゅっと握り返してくる。この人のこんな姿を見たのは初めてだ。

 大きな道に近づくとマール様は気を遣って先に馬車を降り、アルベール様の代わりに城に討伐完了の報告へと向かってくれた。
 その際、真剣な目で「お前の存在が、これからの出来事を左右する。しっかりな」と告げたのは、どういう意味だったのか。

 暗くなり人気の途絶えた通りを急ぐと、私たちは大聖殿の敷地内へ。
 馬車から転げ落ちるように飛び降り、そのまま封書室へと向かう。

「よかった! 間に合ったのね……早くこちらへ」

 入り口ではルイーゼ様が険しい面持ちで待ち構えており、すぐに部屋の中に通してくれた。
 そこでは――。

「母上……お願いです。もう封印を解いてください! このままでは、命が尽きてしまう!」
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