極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

32・再び孤児院

 大昔、ひとりの聖女がこの世界を形作った。
 ある滅びゆく世界から、多くの人々を生き残らせるために、自らの人生を犠牲にしてまで――。

 かつては違う世界に住んでいた私の目から見ても……。
 あの空も鳥も、地面や草木、揺れる花々も――作り物とは到底思えない。

 その偉大な聖女が持っていた特別な力は、“奇跡”――そう呼ばれるようになって、今も人々に受け継がれている。この世界の人々を守り、絶やしてしまわないために。

(この辺境で暮らしてた頃は……まさか、こんなことになるなんて、思ってもみなかったな)

 異世界人にもかかわらず、最近その奇跡に目覚めることになった私は……そのことがきっかけで暮らしていたこの地を離れることになったんだ。
 そこからは、本当に色々な体験があって……思い出しても自分があの壮大な出来事の渦中にいたなんて……全然実感が湧いてこない。

「シーリ、どうかした? もしかして、僕が付いて来たことで、気を遣わせてしまったかな?」
「あ、いえ……そんなこと、全然」
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