極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

44・月映宮

「この様子だと、無駄に戦うことなく月映宮までは辿りつけそうだな」

 前で軽快に足を動かすラエル兄さんが、左右に視線を配りながら言った。

 そう……私たちは、あれから無事に帝都内に侵入していた。
 今は月映宮に続く月影通り(シェード・ストリート)を真っ直ぐにひた走っているところだ。さすが魔帝国一の都、煌びやかさと発展度は聖都と遜色ないけど……今はどの店も営業している様子を見られないのが残念。

 そこでアルベール様が聞きたくて仕方なかったという感じで、私に尋ねた。 

「しかし、あのヴィーナのやつれようには驚いたな。シーリ、一体君は何をしたんだい?」
「実は……自分でも少し試してみたんですが、闇魔法の中では、時間がかなりゆっくり流れるみたいなんです」

 先程ヴィーナを一撃で沈めた闇の魔法。
 あれを扱うにあたって、事前に私はいくつか実験をした。どうしても戦いの際、人に用いるにあたって恐怖感があったから。

 自分でも試した結果分かったのだけど、どうやらあの魔法の性質を言い表すと――。
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