極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

エピローグ①

 白い靴を履いた爪先が、目の前に飛び出た細長く黄色いものを蹴ってしまう。

「わあっと……やっちゃった! あーあ……」

 ついでにいくつもごろごろと転がり出てくるそのお仲間たちを元の位置に戻すため、私は手に持っていた籠を地面に置いた。いけないいけない……考え事をしていたせいで、道端の小石に躓いてしまったのだ。

 せっせせっせとそれらを拾い集め、最後に一番遠くのやつを手に取り土を払うと、浮かんでくるのはにまっとした笑み。だって、あまりにも美味しそうなんだもの……このコーン。

 表面が光を弾いて輝くでっぷりと大きく育ったこれは、手間暇かけて育てた自信作。茹でただけでもおいしいけれど、曳いて粉にしたり、絞って油にしたりと色々使い道も多くて……大好きな野菜だ。

 しかしそれよりも、私は思い出したことを誰かに話したくて、額に浮かぶ汗を拭いつつ帰り道を急ぐ。

 道を囲むように広がったトウモロコシ畑は鈴なりで、結構な広さがあるから収穫を終えるにはまだまだかかりそう。でも、余裕のある範囲で取り組む労働は苦にならない。手の込んだ趣味と同じで、成果を皆と分かち合う瞬間は、このために生きてるんだなってくらいに充実する……今では、人生を彩るのに欠かせないパーツのひとつ。
< 788 / 840 >

この作品をシェア

pagetop