これは私が望んだ復讐です
44話 ニセモノ聖女は暴かれる シャルロットSIDE
「いったいなんなのよ! なぜ返事をくれないの? もうこうなったら直接オーエン様に会いに行こうかしら……」
ここには楽しいことも美味しいお菓子もない。美しい庭園もなく、話し相手もいない。部屋に閉じこもることしかできない私の苛立ちは最高潮になっていた。
(そうよ! それがいいわ! だってこんなの教会に軟禁されてるのと同じじゃない。勝手に帰って何が悪いの!)
それなのに、帰ろうにも突然の大雨で教会を出ることができなくなってしまった。強い風で、馬車も使えない。近くの川も氾濫し始め、教会も騒がしくなって呼んでも誰も来なくなった。
(もう! 天気さえも私の邪魔をする! 本当にイライラするわ!)
ようやく雨がやんだのは、三日後のことだった。経験したこともない嵐だったけど、これで王宮に帰れる。手早く支度をし、私は急いで馬車の手配をしようと立ち上がった。すると、その時。ノックもなく扉がバンと乱暴に開き、司教が入ってきた。
「怪我人や病人がたくさん教会に集まってきているぞ! 早く外に出るんだ!」
「えっ? そんなのわたくしには関係ありませんわ。きゃっ! なにをするのです!」
わけもわからず乱暴に部屋から引きずり出され、私は教会の外に出された。そこにいたのは、人、人、人。この前とは比べものにならないくらいの数の平民たちが、うめき声を上げ集まっていた。
「皆の者、聖女はここだ! さあ、シャルロット。あなたは聖女なのだから、この怪我人たちを癒やしなさい」
ニヤリと笑ってそう言うと、司教は私の背中をドンと押した。
「きゃあ!」
転がるように民衆の前に投げ出され、私は前のめりに倒れる。痛みをこらえなんとか顔を上げると、目の前にはギラギラした目をした女がいた。女は私に気づくとすぐさま睨み、つかみかかってくる。
「このニセモノめ! なにが聖女だ! あんたのせいで息子は死んだじゃないか!」
「い、痛い! やめて!」
(誰なの? この平民女は! なんて無礼なのかしら!)
どこかで見たような顔だけど、覚えていない。それに私のせいで子供が死んだなんて、ひどい言いがかりだわ。きっと子供が死んだことで頭がおかしくなっているのだろう。
(なんで私がこんな目にあわないといけないの? 警備はなにをしているの?)
狂ったように襲ってくる女の力はものすごく、ひ弱な私ではとても振り払えない。私は必死になって教会に向かって叫んでいた。
「誰か助けなさい! この女を捕まえて! わ、わたくしは王妃となる――」
首元をつかまれ揺さぶってくるので、息が苦しい。それでも大声で助けを呼んでいるのに、誰も来ようとはしなかった。それどころか私が聖女だとわかると、周囲の者たちはいっせいに叫び始める。
「そうだそうだ! 嘘つき女!」
「スカーレット様を取り戻せ! あの方は本物の聖女だ!」
「きっと聖女様が国を去ったから結界が壊れたのよ!」
集まった者たちは口々に「スカーレットこそが本物の聖女」「聖女を我が国に!」「ニセモノ聖女を追放しろ」と叫び始める。
(なにを言っているのよ! 結界なんてもともと無いわ! あの女こそニセモノよ!)
みんなシモンの嘘に騙されてるのよ! あの人に踊らされてるとも知らず興奮しきってる。これ以上こんな場所にいたら、ニセモノだと思われている私は殺されてしまうかもしれない。
(逃げるなら今だわ!)
私は周囲の騒ぎに気を取られている女の手を振り払い、急いで教会の中に戻った。そして裏口から馬車に乗ろうとすると、そこにはニヤリと笑う司教が立っていた。
ここには楽しいことも美味しいお菓子もない。美しい庭園もなく、話し相手もいない。部屋に閉じこもることしかできない私の苛立ちは最高潮になっていた。
(そうよ! それがいいわ! だってこんなの教会に軟禁されてるのと同じじゃない。勝手に帰って何が悪いの!)
それなのに、帰ろうにも突然の大雨で教会を出ることができなくなってしまった。強い風で、馬車も使えない。近くの川も氾濫し始め、教会も騒がしくなって呼んでも誰も来なくなった。
(もう! 天気さえも私の邪魔をする! 本当にイライラするわ!)
ようやく雨がやんだのは、三日後のことだった。経験したこともない嵐だったけど、これで王宮に帰れる。手早く支度をし、私は急いで馬車の手配をしようと立ち上がった。すると、その時。ノックもなく扉がバンと乱暴に開き、司教が入ってきた。
「怪我人や病人がたくさん教会に集まってきているぞ! 早く外に出るんだ!」
「えっ? そんなのわたくしには関係ありませんわ。きゃっ! なにをするのです!」
わけもわからず乱暴に部屋から引きずり出され、私は教会の外に出された。そこにいたのは、人、人、人。この前とは比べものにならないくらいの数の平民たちが、うめき声を上げ集まっていた。
「皆の者、聖女はここだ! さあ、シャルロット。あなたは聖女なのだから、この怪我人たちを癒やしなさい」
ニヤリと笑ってそう言うと、司教は私の背中をドンと押した。
「きゃあ!」
転がるように民衆の前に投げ出され、私は前のめりに倒れる。痛みをこらえなんとか顔を上げると、目の前にはギラギラした目をした女がいた。女は私に気づくとすぐさま睨み、つかみかかってくる。
「このニセモノめ! なにが聖女だ! あんたのせいで息子は死んだじゃないか!」
「い、痛い! やめて!」
(誰なの? この平民女は! なんて無礼なのかしら!)
どこかで見たような顔だけど、覚えていない。それに私のせいで子供が死んだなんて、ひどい言いがかりだわ。きっと子供が死んだことで頭がおかしくなっているのだろう。
(なんで私がこんな目にあわないといけないの? 警備はなにをしているの?)
狂ったように襲ってくる女の力はものすごく、ひ弱な私ではとても振り払えない。私は必死になって教会に向かって叫んでいた。
「誰か助けなさい! この女を捕まえて! わ、わたくしは王妃となる――」
首元をつかまれ揺さぶってくるので、息が苦しい。それでも大声で助けを呼んでいるのに、誰も来ようとはしなかった。それどころか私が聖女だとわかると、周囲の者たちはいっせいに叫び始める。
「そうだそうだ! 嘘つき女!」
「スカーレット様を取り戻せ! あの方は本物の聖女だ!」
「きっと聖女様が国を去ったから結界が壊れたのよ!」
集まった者たちは口々に「スカーレットこそが本物の聖女」「聖女を我が国に!」「ニセモノ聖女を追放しろ」と叫び始める。
(なにを言っているのよ! 結界なんてもともと無いわ! あの女こそニセモノよ!)
みんなシモンの嘘に騙されてるのよ! あの人に踊らされてるとも知らず興奮しきってる。これ以上こんな場所にいたら、ニセモノだと思われている私は殺されてしまうかもしれない。
(逃げるなら今だわ!)
私は周囲の騒ぎに気を取られている女の手を振り払い、急いで教会の中に戻った。そして裏口から馬車に乗ろうとすると、そこにはニヤリと笑う司教が立っていた。