黒魔術の使い手ですが何か?! 〜死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい

13.パルリム王国の戦争

戦争は本当に起きてしまった。

前世より二年も早くにだ。
四月になったとたんに起きたため、結婚式は延期となった。
仕方がない。

戦争といってもそれはパルリム王国の独裁政治に対して民衆と下流貴族が起こした内乱で、ソードノーズが直接戦争にかかわるわけではなかった。
だがパルリム王国との国境でソードノーズ側にも内乱の飛び火がふりかかりウォルターは出征することになった。
国境を守るためだ。

オーロラは不安で仕方なくなった。
どうかご無事で。
戦争で負傷などされませんように。
当然のことだが、前世では車いすだったウォルターが出征することはなかった。だから戦争による負傷の心配はなかったのだ。

ノエルとの関係性がどうなろうとそれより命を落とすことの方が怖くて祈った。

「お願いですから怪我だけは……」

「大丈夫だ。俺の魔力を見たろう?」

「ですが……」

もちろんグラント王子も出征する。
王家は国王以外の男性はしばらくいなくなる。

ソードノーズ国内にも不安が広がっていた。

不安をよそにウォルターは出征していってしまった。

何か心の中に空洞ができようだ。


「オーロラ嬢。今度はこちらをお願いしてもいい?」

ウォルターが出征してからは毎日オーロラは王宮へと出仕することにしている。
まだ結婚していなかったが、ウォルターがするべき仕事がたまってくるため、オーロラができる範囲で処理しようと思ったのだ。
王太子と王子がいないので、セシル王妃もかなり仕事量が増え、ふたりで残業して働いている毎日だ。

「はい。どれでしょうか?」

「孤児院の予算の件よ」

「はい。見てみます」

オーロラは前世で五年間王太子妃をしていたため仕事の内容はよくわかっている。特に困ることはない。
だが、オーロラが初めて仕事すると思っているセシル王妃や補佐官たちはオーロラの仕事ぶりにびっくりしている。

「あなたに任せればなんでも半分の時間で終わるわね。さあ次行きましょう」

そうやって仕事をしている方がウォルターの心配ばかりしているよりいいのだ。
何かに忙殺されていればその間だけでも忘れることができるからだ。

おそらくセシル王妃も同じらしい。

そんな中、ある日、自分に出されたお茶に違和感を覚えた。
一口、口に含んだ時だ。
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