再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
甘やかす日
翌日。私はミレアに準備を手伝ってもらい、神殿の外で待ってくれているロード様の元へと向かった。
「ロード様。おはようございます」
「セーラ。おはよう」
騎士の制服ではなく王族としての煌びやかなものでもなく、至って普通の服で馬車の前に立っているロード様。その姿がいつもと違って、なんだか眩しく見えてすごくかっこいい。
もちろんいつもの姿も素敵だけど、これがギャップというやつだろうか。
「お待たせしてしまってごめんなさい」
「全然。俺とのデートのために時間をかけてこんなに可愛くしてくれたんだろ? 待ってる間も楽しかったよ」
「なっ……」
涼しい顔でそんなことを言うから、私の顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「ははっ、真っ赤だ。可愛い」
「ま、また言った!」
可愛いだなんて。突然どうしてそんなことを!
「そりゃ言うよ。……ずっと思ってはいたけど、今までは我慢して言ってこなかったんだ。それをやめただけ」
「ど、どうして……」
「さあ? どうしてでしょう」
嬉しそうに笑ったロード様は、私に手のひらを差し出してエスコートしてくれる。
恥ずかしさを押し殺しながらも自分の手を重ねて馬車に乗り込むと、ロード様は私の向かいに腰掛けた。
「セーラ、お腹は空いてる?」
「そんなには……。まだ朝ごはんを食べたばかりで」
「そうだよね。じゃあ先に買い物に行こう。そろそろドレスも買った方がいいだろうし」
「いやいやいや! ドレスなら前に買っていただいた分がたくさんありますから!」
「だーめ。俺は決めてるんだ。今日はとことんセーラを甘やかす日にするって」
あ、甘やかすって……
「いつも十分すぎるくらい甘やかしてもらってますよ!?」
「だーから全然足りないんだって!」
そんな、足りないなんて言われても。
今だってとても甘やかしてもらっている自覚があるのに? これ以上?
そんなの知ってしまったら。
「そんなの、勘違いしちゃうじゃないですか……」
もしかして、大切以上に想ってくれているんじゃないかって。そんなわけないのに、そう勘違いしてしまいそう。
小さく呟いた声は、狭い馬車の中でロード様に微かに届いてしまっていて。
慌てて口元を押さえるけれど、もう遅い。
真剣な眼差しのロード様が、徐に向かいから私の隣に移動してきて。
「……なに、それ」
「いや、あのっ」
「セーラ。俺の目見て」
「は、い……」
目を逸らしたいのに、両手で顔を抑えられて真っ直ぐに見つめられて。
ごくりと鳴る喉。バクバクと早まる鼓動の音が、ロード様に伝わってしまいそうで恥ずかしい。
「俺が甘やかしたら、勘違いしてくれるってこと?」
「え……」
「どうすれば、もっと勘違いしてくれる?」
「……あ、あの」
「どうすれば、もっとセーラの視界に入れる?」
「ろ、ロード様……?」
「……はぁ」
ロード様はため息をつくと、そのまま手を離して私にもたれかかるように肩に額を置く。
「ダメだ。……セーラが可愛すぎる。無意識怖い」
小さくそう呟いたかと思うと、ロード様はふわりと私の身体を抱きしめてくれて。
ロード様から伝わる心臓の音が、私よりも早く動いていることに気が付いて、顔がまた真っ赤に染まる。
……ロード様も、私と同じくらいドキドキしているの……?
そう思ったら、胸がきゅんと高鳴り苦しくなる。
「ろ、ロード様」
「ん?」
「私、……こんなことされたら、本当に勘違いしちゃいます」
「……ん、いいよ」
いいよ、って……。
だって、それって、つまり。
「それくらい意識してくれないと、始まらないからね」
「っ……!」
言葉と共に頬に触れた柔らかさ。
それがロード様の唇だと気付くまでに時間がかかって。
「俺、もう我慢しないから。覚悟しておいてね、セーラ」
意地悪く笑うロード様に、私はドキドキが止まらなかった。
「ロード様。おはようございます」
「セーラ。おはよう」
騎士の制服ではなく王族としての煌びやかなものでもなく、至って普通の服で馬車の前に立っているロード様。その姿がいつもと違って、なんだか眩しく見えてすごくかっこいい。
もちろんいつもの姿も素敵だけど、これがギャップというやつだろうか。
「お待たせしてしまってごめんなさい」
「全然。俺とのデートのために時間をかけてこんなに可愛くしてくれたんだろ? 待ってる間も楽しかったよ」
「なっ……」
涼しい顔でそんなことを言うから、私の顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「ははっ、真っ赤だ。可愛い」
「ま、また言った!」
可愛いだなんて。突然どうしてそんなことを!
「そりゃ言うよ。……ずっと思ってはいたけど、今までは我慢して言ってこなかったんだ。それをやめただけ」
「ど、どうして……」
「さあ? どうしてでしょう」
嬉しそうに笑ったロード様は、私に手のひらを差し出してエスコートしてくれる。
恥ずかしさを押し殺しながらも自分の手を重ねて馬車に乗り込むと、ロード様は私の向かいに腰掛けた。
「セーラ、お腹は空いてる?」
「そんなには……。まだ朝ごはんを食べたばかりで」
「そうだよね。じゃあ先に買い物に行こう。そろそろドレスも買った方がいいだろうし」
「いやいやいや! ドレスなら前に買っていただいた分がたくさんありますから!」
「だーめ。俺は決めてるんだ。今日はとことんセーラを甘やかす日にするって」
あ、甘やかすって……
「いつも十分すぎるくらい甘やかしてもらってますよ!?」
「だーから全然足りないんだって!」
そんな、足りないなんて言われても。
今だってとても甘やかしてもらっている自覚があるのに? これ以上?
そんなの知ってしまったら。
「そんなの、勘違いしちゃうじゃないですか……」
もしかして、大切以上に想ってくれているんじゃないかって。そんなわけないのに、そう勘違いしてしまいそう。
小さく呟いた声は、狭い馬車の中でロード様に微かに届いてしまっていて。
慌てて口元を押さえるけれど、もう遅い。
真剣な眼差しのロード様が、徐に向かいから私の隣に移動してきて。
「……なに、それ」
「いや、あのっ」
「セーラ。俺の目見て」
「は、い……」
目を逸らしたいのに、両手で顔を抑えられて真っ直ぐに見つめられて。
ごくりと鳴る喉。バクバクと早まる鼓動の音が、ロード様に伝わってしまいそうで恥ずかしい。
「俺が甘やかしたら、勘違いしてくれるってこと?」
「え……」
「どうすれば、もっと勘違いしてくれる?」
「……あ、あの」
「どうすれば、もっとセーラの視界に入れる?」
「ろ、ロード様……?」
「……はぁ」
ロード様はため息をつくと、そのまま手を離して私にもたれかかるように肩に額を置く。
「ダメだ。……セーラが可愛すぎる。無意識怖い」
小さくそう呟いたかと思うと、ロード様はふわりと私の身体を抱きしめてくれて。
ロード様から伝わる心臓の音が、私よりも早く動いていることに気が付いて、顔がまた真っ赤に染まる。
……ロード様も、私と同じくらいドキドキしているの……?
そう思ったら、胸がきゅんと高鳴り苦しくなる。
「ろ、ロード様」
「ん?」
「私、……こんなことされたら、本当に勘違いしちゃいます」
「……ん、いいよ」
いいよ、って……。
だって、それって、つまり。
「それくらい意識してくれないと、始まらないからね」
「っ……!」
言葉と共に頬に触れた柔らかさ。
それがロード様の唇だと気付くまでに時間がかかって。
「俺、もう我慢しないから。覚悟しておいてね、セーラ」
意地悪く笑うロード様に、私はドキドキが止まらなかった。