再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

答え

 それから数日間、私は一人でじっくりと考えた。これからどうすべきか。どうすれば自分が一番納得できるのか。

 考えても答えなんて出ないと思っていたけれど、ロード様とリゼに気持ちを話したことで、いくらか頭の中がスッキリしていた。


 "大人にならなきゃ生きていけなかった"


 そう言語化してくれたことが、多分一番私の心を軽くしてくれた。

 そうだ。日本では私はどうしても大人にならないといけなかったんだ。

 無理をして背伸びをして、大人であろうとした。だけど中身はまだ子どもで。それを言語化してもらって、子どもに戻ってもいいと言ってもらえたような気がして、何かが腑に落ちた。

 ここは日本じゃない。ドラムトン王国だ。そして、私はここで大人としてでも子どもとしてでもなく、聖女として扱われている。

 それは学歴が無くても、親がいなくても、家が無くても、私という存在を一人の人間として認めてくれているということだ。

 確かに国のために利用していることに違いは無い。王様の提案に頷いてしまえば、私はまた忙しい日々を送ることになるだろう。

 だけどその分、達成感や充実感のようなものを味わえるのではないだろうか。

 仮に王様の提案を断ったとしよう。そうしたら、じゃあこれから一年間、私は何をして過ごすの?

 ただ、ロード様や神官たち、騎士団の人たちが命をかけて戦っているところを傍観しているの?

 それとも、見ることもせずに私は無関係ですと言い切って部屋に引き篭もる?

 みんなに守ってもらうだけで、自分は何もしない?


 ……それは、私が一番許せないと思った。


 私は望んでここにいるわけではない。だけど、ただお飾りのように守られるだけの生活を求めているわけでもない。

 最初は魔力が無かったから仕方なかったかもしれない。だけど、今は安定していて浄化もできる。

 やろうと思えばできるのに、やらずに見て見ぬ振りするのは私自身が一番許せないことだ。

 だから先日の浄化も自ら動いたし、そこに後悔はないと言い切れる。

 そう考えて、自分の中での答えがはっきりしてきたように思えた。


「……リゼ」

「はい、セーラ様」

「……王様へ謁見したいんだけど、どうしたらいいのかな」

「私から陛下の側近に申し伝えて参ります」

「ありがとう。そうだな……明日。明日の午前中に、謁見したいって伝えてくれる?」

「かしこまりました」


 リゼが部屋を出ていくのを見送り、私は窓の外を見つめる。王宮の庭園は、しばらく見ない間に咲いているお花が増えたようだ。

 リゼが戻ってきたら、庭園へ行ってみようと決めた。
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