再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
衝撃
***
――目が覚めてしばらくしてからも、私は涙を流し続けていた。
天蓋を見つめたまま、ただ静かに涙だけが耳を伝いベッドに落ちていく。
「……セーラ様? お目覚めになりましたか?」
そんな私にリゼが声をかけてくれるけれど、私は何も答えられずにただ泣き続ける。
「セーラ様……」
リゼは、何も言わずにハンカチで丁寧に私の涙を拭いてくれた。
どれくらいそうしていただろう。
途中でロード様やセイロン様が代わる代わる来てくれたけれど、私は呼びかけに何も答えることもできずにただ天蓋を見つめることしかできなくて。
声を出さなきゃ。返事をしなきゃ。そう思えば思うほど、夢で見たお母さんの顔が浮かんでしまってうまく声を発することができなかった。
食事もとれず、飲み物を飲むことすらできず。
泣いて、泣き疲れて少し眠って。また起きて、ボーッとして。
どうやら、私は熱を出していたらしい。
魔力が暴走しているわけではないものの、何か精神的に負荷がかかっているのだろうとロード様とセイロン様が話しているのを聞いた。
熱を出したから、お母さんの夢を見たのか。それともその逆か。それはわからないけれど、どちらにしてもお母さんが関係しているのは明らかで。
みんなに心配をかけている自覚はあれど、自分ではどうすることもできなかった。
それから丸一日経ち、ようやく熱が下がった頃には私も落ち着きを取り戻していた。
「セーラ様、まだ無理はなさらない方が」
「いいの。少し身体を動かさないと」
「ですが……」
制止するリゼの声を受け流し、無理矢理ベッドから抜け出す。
立ち上がるとそのまま窓の前まで椅子を持ってきてもらい、座りながら庭園を眺めた。
「セーラ様、ロード殿下がお見えです」
「ロード様? お通しして」
「セーラ、調子はどう……セーラ!?」
部屋に入ってきたロード様は、私を見るなり慌てて駆け寄ってきて私の顔を覗き込む。
「セーラ、もう起き上がって大丈夫なのか!? 熱は!?」
「下がりましたので大丈夫です。ご心配をおかけしてすみませんでした」
「下がったなら良かったよ。でもまだ病み上がりなんだから無理するな」
「大丈夫ですって。それに、少し外の景色を見たかったので」
視線を庭園に戻すと、ロード様も隣で庭園を見つめる。
「セーラ様、殿下、よろしければお茶にいたしませんか?」
「うん、ロード様もいかがですか?」
「あぁ。いただこうかな」
「かしこまりました。少々お待ちください」
リゼがお茶を用意している間、沈黙が続いていたけれどロード様が不意に口を開く。
「……熱が出たのは、俺のせいだよな。ごめんな」
「……え?」
「俺が、あんなこと言ったから……」
"……浄化が終わったら。やっぱりセーラは、向こうに帰ってしまうのか……?"
口籠るロード様は、あの言葉が原因だと思っているらしい。
「……違います」
「違わないだろ。熱の原因は精神的な問題だってセイロンが……」
「酷いですね。私が違うと言っているのに信じてくれないのですか?」
「っ……悪い」
ハッとして黙るロード様に、からかいすぎたと笑う。
「ごめんなさい。意地悪を言いました。でも本当です。ロード様のお言葉が原因ではありませんから。気にしないでください」
「……じゃあ、どうして……」
ロード様は、その続きを言葉にすることはなく。
リゼに呼ばれるまで、口を開くことはなかった。
――目が覚めてしばらくしてからも、私は涙を流し続けていた。
天蓋を見つめたまま、ただ静かに涙だけが耳を伝いベッドに落ちていく。
「……セーラ様? お目覚めになりましたか?」
そんな私にリゼが声をかけてくれるけれど、私は何も答えられずにただ泣き続ける。
「セーラ様……」
リゼは、何も言わずにハンカチで丁寧に私の涙を拭いてくれた。
どれくらいそうしていただろう。
途中でロード様やセイロン様が代わる代わる来てくれたけれど、私は呼びかけに何も答えることもできずにただ天蓋を見つめることしかできなくて。
声を出さなきゃ。返事をしなきゃ。そう思えば思うほど、夢で見たお母さんの顔が浮かんでしまってうまく声を発することができなかった。
食事もとれず、飲み物を飲むことすらできず。
泣いて、泣き疲れて少し眠って。また起きて、ボーッとして。
どうやら、私は熱を出していたらしい。
魔力が暴走しているわけではないものの、何か精神的に負荷がかかっているのだろうとロード様とセイロン様が話しているのを聞いた。
熱を出したから、お母さんの夢を見たのか。それともその逆か。それはわからないけれど、どちらにしてもお母さんが関係しているのは明らかで。
みんなに心配をかけている自覚はあれど、自分ではどうすることもできなかった。
それから丸一日経ち、ようやく熱が下がった頃には私も落ち着きを取り戻していた。
「セーラ様、まだ無理はなさらない方が」
「いいの。少し身体を動かさないと」
「ですが……」
制止するリゼの声を受け流し、無理矢理ベッドから抜け出す。
立ち上がるとそのまま窓の前まで椅子を持ってきてもらい、座りながら庭園を眺めた。
「セーラ様、ロード殿下がお見えです」
「ロード様? お通しして」
「セーラ、調子はどう……セーラ!?」
部屋に入ってきたロード様は、私を見るなり慌てて駆け寄ってきて私の顔を覗き込む。
「セーラ、もう起き上がって大丈夫なのか!? 熱は!?」
「下がりましたので大丈夫です。ご心配をおかけしてすみませんでした」
「下がったなら良かったよ。でもまだ病み上がりなんだから無理するな」
「大丈夫ですって。それに、少し外の景色を見たかったので」
視線を庭園に戻すと、ロード様も隣で庭園を見つめる。
「セーラ様、殿下、よろしければお茶にいたしませんか?」
「うん、ロード様もいかがですか?」
「あぁ。いただこうかな」
「かしこまりました。少々お待ちください」
リゼがお茶を用意している間、沈黙が続いていたけれどロード様が不意に口を開く。
「……熱が出たのは、俺のせいだよな。ごめんな」
「……え?」
「俺が、あんなこと言ったから……」
"……浄化が終わったら。やっぱりセーラは、向こうに帰ってしまうのか……?"
口籠るロード様は、あの言葉が原因だと思っているらしい。
「……違います」
「違わないだろ。熱の原因は精神的な問題だってセイロンが……」
「酷いですね。私が違うと言っているのに信じてくれないのですか?」
「っ……悪い」
ハッとして黙るロード様に、からかいすぎたと笑う。
「ごめんなさい。意地悪を言いました。でも本当です。ロード様のお言葉が原因ではありませんから。気にしないでください」
「……じゃあ、どうして……」
ロード様は、その続きを言葉にすることはなく。
リゼに呼ばれるまで、口を開くことはなかった。