再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
脱出
「悲しいですか? つらいですか? 苦しいですか?」
畳み掛けるように聞いてくるカイエン様は、とうとうその目から涙を一筋流した。
その姿を見ていると、何か込み上げてくるものがあって。
「……悲しいのも、つらいのも、苦しいのも。全てカイエン様のお気持ちでは?」
「は? ……な、にを」
カイエン様も、つらかったんじゃないかな。そう思ってしまう。
「一族の末裔として、最後の一人として、必死だったのでしょう? 誰かに認められたくて、存在を否定されたくなくて。確固たる、証が欲しかったのではありませんか? フォードという一族が、この世界に生きていたという証明が。カイエン様という、フォードの最後の生き残りがいたという証明が」
自分が生きていた証を、フォードという一族がいた証を、残したかったのではないだろうか。
そう思ったら。
「……寂しい、ですよね。一族のため、王を目指すために必死で研究して。王を目指しているのに、生み出しているのは兵器だなんて。……とても、寂しかったですよね」
カイエン様の人生は、とても寂しくて苦しかったのではないだろうか。
「……うるさい」
「え?」
「……うるさいっ! 黙れ!」
突然叫び出したカイエン様は、涙で濡れた顔で私に向かって手を出す。
……あ、やばい。
そう思った時には魔法が発動されており、焦った拍子に椅子が倒れて尻餅をつく。
しかし、魔法の軌道からは逸れたものの完全には避けきれずに、腕を掠めた。
「いっ……」
炎の魔法だろうか。腕の服は一部が燃え、その下の皮膚が焼けこげて痛い。
私を掠めた魔法はそのまま洞窟の壁にぶつかったらしく、ドン!という音と共に鉱石が砕けてパラパラと落ちていた。
反対の手で怪我したところを押さえながら立ち上がると、
「……運がいいですね。ですが、次は当てますよ?」
笑顔すら失ったカイエン様が、虚な目で私を見つめる。
その手は私が動くたびに追いかけるように動いてきて、次に魔法を発動されてしまったらもう本当にダメかもしれない。
どうする。どうすれば。こんな時、ロード様やセイロン様だったらどうする?
とにかくここから逃げるのが先決だろう。だけど、どうやって。
天井を見ても、横の壁を見ても抜け穴も出口も何もない。やはり、外と繋がっているのはあの入り口だけ。そして今は、結界で外部からの侵入はほぼ不可能。
「逃げようなんて考えても無駄ですよ。諦めて大人しくしていてください」
「……嫌です」
「……なに?」
どう考えても外からの助けは見込めない。……それならば。
「カイエン様」
「何でしょう?」
「……私と、賭けをしませんか?」
畳み掛けるように聞いてくるカイエン様は、とうとうその目から涙を一筋流した。
その姿を見ていると、何か込み上げてくるものがあって。
「……悲しいのも、つらいのも、苦しいのも。全てカイエン様のお気持ちでは?」
「は? ……な、にを」
カイエン様も、つらかったんじゃないかな。そう思ってしまう。
「一族の末裔として、最後の一人として、必死だったのでしょう? 誰かに認められたくて、存在を否定されたくなくて。確固たる、証が欲しかったのではありませんか? フォードという一族が、この世界に生きていたという証明が。カイエン様という、フォードの最後の生き残りがいたという証明が」
自分が生きていた証を、フォードという一族がいた証を、残したかったのではないだろうか。
そう思ったら。
「……寂しい、ですよね。一族のため、王を目指すために必死で研究して。王を目指しているのに、生み出しているのは兵器だなんて。……とても、寂しかったですよね」
カイエン様の人生は、とても寂しくて苦しかったのではないだろうか。
「……うるさい」
「え?」
「……うるさいっ! 黙れ!」
突然叫び出したカイエン様は、涙で濡れた顔で私に向かって手を出す。
……あ、やばい。
そう思った時には魔法が発動されており、焦った拍子に椅子が倒れて尻餅をつく。
しかし、魔法の軌道からは逸れたものの完全には避けきれずに、腕を掠めた。
「いっ……」
炎の魔法だろうか。腕の服は一部が燃え、その下の皮膚が焼けこげて痛い。
私を掠めた魔法はそのまま洞窟の壁にぶつかったらしく、ドン!という音と共に鉱石が砕けてパラパラと落ちていた。
反対の手で怪我したところを押さえながら立ち上がると、
「……運がいいですね。ですが、次は当てますよ?」
笑顔すら失ったカイエン様が、虚な目で私を見つめる。
その手は私が動くたびに追いかけるように動いてきて、次に魔法を発動されてしまったらもう本当にダメかもしれない。
どうする。どうすれば。こんな時、ロード様やセイロン様だったらどうする?
とにかくここから逃げるのが先決だろう。だけど、どうやって。
天井を見ても、横の壁を見ても抜け穴も出口も何もない。やはり、外と繋がっているのはあの入り口だけ。そして今は、結界で外部からの侵入はほぼ不可能。
「逃げようなんて考えても無駄ですよ。諦めて大人しくしていてください」
「……嫌です」
「……なに?」
どう考えても外からの助けは見込めない。……それならば。
「カイエン様」
「何でしょう?」
「……私と、賭けをしませんか?」