聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

16.聖女運命の終焉

 年配男性の大司教は穏やかで落ち着いた声でマリーの聖女名を呼ぶ。
 「聖女アンナ様」
 「!」
 マリーは大司教に聖女名で呼ばれた瞬間、呼吸が止まった。
 マリーは声がした方へ振り向くと、ウィラルドの国の大司教と数人の信者がいた。
 マリーの頭の中に魔王の言葉が蘇る。
 『聖女の力が戻ればまた教会に奉仕し、力を搾取されるだろう。お前の運命は決まっている』
 マリーは言葉を失っていると、ウィラルドは大司教を威嚇をするような鋭い視線で凝視する。
 「聖女アンナ様。隣国でのご活躍は届いておりました。今も素晴らしいご活躍でした。ぜひ我が国でもお力を貸してください」
 「そんな……」
 魔王が言っていた事が本当になる。大司教はマリーへさらに言葉を続ける。
 「聖女アンナ様、私達をお導きください」
 マリーは自分の意志を強く持ち、大司教へ言葉を返す。
 「わたしはもう聖女アンナではありません。わたしは元聖女のマリーです」
 「いいえ、あなたは大聖女アンナ様の生まれ変わりです。私達をお導きください」
 マリーと大司教の論争が続く。
 「わたしはリベルテ教派のマリーです。わたしは一人の女性として、ウィラルド様と一緒に生きていきます」
 マリーはウィラルドと出会う前ならば大司教の申し出を素直に受け入れていた。
 しかしマリーはもう聖女として教会へ戻る意志はない。
 (正直、結婚がどんなものなのかよく分からない。けれどウィラルド様と支え合って生きていきたい。
 今回ウィラルド様がわたしを守ってくれたように、わたしの聖女の力でウィラルド様を支えられたように、これからもそうありたい)
 マリーはやりたい事を見つけた。
 愛する人と結ばれて二人で支え合い、共に人生を歩みたいと思っている。
 マリーが心の底から望む事だ。
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