聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

18.豪華な謝罪の花束

 マリーがウィラルドからプロポーズをされ、幸せな初夜を過ごして数週間が経った。

 夕刻が近い午後。
 王太子妃になるための勉強と結婚式の準備に追われているマリーはフィデリックにウィラルドの執務室へ呼ばれる。
 呼ばれた理由は意外な人物がマリーに会いたいと言ってきたからだ。
 フィデリックがノックをしてマリーと共に執務室へ入ると、執務をしていたウィラルドは手を止めてマリーを出迎える。
 ウィラルドは再び執務椅子に座り、その膝にマリーを横向きに座らせて軽く抱きしめる。
 マリーはフィデリックに見られているため、恥ずかしそうに視線を落とすと照れて頬を染める。
 フィデリックは愛する人ができるとこんなにも人は変わるのか、と表情を変えずにウィラルドを無言で見つめてマリーを呼んだ理由を話し始める。
 「あの、聖騎士王太子殿下。マリー様をお連れする前にお伝えした通りなのですがーー」
 ウィラルドはマリーを抱えながら盛大な溜め息を吐く。
 「其奴はそんなに俺に殺されたいのか」
 ウィラルドは魔王の代わりに殺そうと思い、剣を向けた時のレユスットを思い出しながら、フィデリックが言い終わる前に言葉を挟む。
 ウィラルドはレユスットの神経の図太さと根性に呆れた。
 マリーは話しが見えずに疑問符を浮かべていると、フィデリックが話しを続ける。
 「……解釈はお任せします。ヘレナさんもレユスット様の付き添いでいらしています。レユスット様はどうしてもマリー様に直接会って謝りたいとの事です」
 レユスットの名前が出てマリーの表情はこわばり、動揺する。
 「却下に決まっているだろ、と言いたいがーー。マリー、どうする?」
 「えっと……」
 マリーはウィラルドに聞かれて答えを言いよどむ。
 「彼奴に気を遣わなていい。俺はマリーの意志を尊重する。マリーの正直な気持ちを答えてくれ」
 マリーはレユスットとの今までの事を考える。
 聖女の頃にレユスットと会話をしていたが、ほとんどが上辺だけの会話だった。
 マリーはレユスットと向き合って話した事がなかったことに気づく。
 「会います」
 マリーは立ち上がり、レユスットに会う勇気を出す。
 本当はトラウマのようになっている人物に会いたくないが、マリーはレユスットの謝りたいという気持ちを信じる事に決めた。
 「以前、まだわたしが聖女だった時です。わたしは聖女の力を失ったと聞かされて聖女修道院の応接室を出た後、レユスット様に別れの挨拶をしようと思って引き返したら真相を聞いてしまったの。だから今度こそ直接会って話します」
 「わかった。俺もそばまで一緒に行こう。何かあったら俺を呼べ」
 立ち上がったマリーの指先をずっと握っているウィラルドはマリーを見上げながら伝える。
 「ウィラルド、ありがとう」
 マリーはウィラルドに笑顔を向ける。ウィラルドもマリーへ笑顔を返し、フィデリックへ指示を出す。
 「人目に付かない場所で会うことにする。手配してくれ」
 「了解しました」
 フィデリックはウィラルドから指示を受けて、執務室を後にした。
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