聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

8.既視感のある演劇鑑賞

 気まずいアフタヌーンティーから数日後。
 マリーとウィラルドはヘレナが出演する歌劇を鑑賞するため、ウィラルドの部下に劇場に連絡を取ってもらった。
 指定した日に観劇ができる事になり、ウィラルドが王太子のため、当日は王族がいつも使用するロイヤルボックス席で鑑賞することになった。

 今日はヘレナが出演する歌劇を観に行く日だ。
 公務ではないためマリーとウィラルドはアフタヌーンティーの時と色が違う、同じような服装をしている。
 夜公演のため、マリーは陽が落ちてからウィラルドと馬車に乗って劇場へ向かった。

 マリーとウィラルドは劇場内へ入り、ロイヤルボックス席に通される。
 席へ通されると、ヘレナが知らせを受けてすぐに現れた。
 マリーとウィラルドはヘレナへ挨拶を済ませ、開演まで席でくつろいでいる。
 「ここが劇場なのね。人がたくさんいて、すごく広くて煌びやかね!」
 劇場へ初めて来たマリーはロイヤルボックス席から見渡して興奮している。
 「そうだな。マリー、オペラグラスを使うか? 舞台上の役者の顔も良く見えるぞ」
 マリーはオペラグラスを使い、ウィラルドを見る。
 マリーはウィラルドが瞳が至近距離で見えて笑い出す。
 「本当だわ。ウィラルド様が近いわ!」
 マリーは子供のように笑い、初めて使う道具に興味津々だ。
 「ならばもっと近くで見てみろ」
 一人掛け用の豪華な椅子にウィラルドはマリーの手を引いて、自分の膝の上に座らせる。
 「み、見えないわ」
 マリーは恥ずかしくて後ろを振り向けず、固まっている。
 「このまま観劇するか? 俺は構わない」
 ウィラルドはマリーを後ろから優しく抱きしめる。
 「歌劇に集中できないわ」
 マリーの鼓動が速くなっていく。
 マリーはウィラルドに抱きしめられて嬉しいが、舞台上のヘレナを見つけるどころではなくなってしまう。
 「ならば演劇が始まるまでこのままでいろ」
 ウィラルドはマリーのサラサラとした髪を優しく撫でる。
 マリーの髪は倒れた時のツヤがなく灰色がかったピンクとは違い、今は艶やかで輝くようなベビーピンクをしている。
 ウィラルドはマリーの髪をうっとりと眺めて言葉を零す。
 「マリーは俺のそばにいろ。俺が守ってやる」
 マリーはウィラルドに髪を撫でられながら頷く。
 嬉しい言葉だが、どうしてそんなに守ると言ってくれるのかマリーは疑問だった。
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