転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

23 微細なる揺らぎ

 翌朝――聖女が幽閉されている塔、およびその周辺に起こった異変は、予想外の経路をたどって教会外へ、そして王宮へと伝わった。

 最初に気づいたのは、大聖堂に夜通し詰めていた下級神官たちだった。
 いつも通り敷地内の見回りをしていた彼らは、聖女が幽閉されている区画の裏手で足を止めた。
 幽閉される直前、聖女自らが土を均し、種を蒔いていたさびれた花壇。
 そこに、可愛らしい白い小花が一面に咲き乱れているのを確認したのだ。

 本来ならば春に咲くはずの野草。
 まだ掃き清められていない秋の落ち葉がひらりと舞う向こう側に広がるその光景は、どこか幻想的だ。
 小花の絨毯の向こう側には、堅牢な石造りの古びた塔が聳えているが、その一帯だけ全体的に空気がどこか柔らかい。

「……昨夜のうちに、聖女様のご祈祷でも行われたのでしょうか?」

「今の所、聖女様がご祈祷される許可は下りていません」

 階段の手すりに触れた若い神官が、驚いたように指先を見つめた。

 「……温かい」

 そこには確かに、微かな残滓があった。
 深い祈りの場にのみ残る、神秘の気配のようなもの。
 報告は噂好きの神官や侍女を介し、教皇によって箝口令が宣言される前、昼過ぎには王宮の一部にも届いていた。

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