転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
29 裁きの舞台で叫べ
荘厳な鐘が鳴り響き、扉がゆっくりと開いた。
この歪んだ思惑に属している観衆は固唾を呑み、中央の仮設祭壇に視線を集める。
一人の小柄な少女が、静かな足取りで舞台に導かれていった。
厳粛な空気の中、白装束に身を包まれた少女は、壇上に立たされる。
「これより――『聖なる裁き』を執り行う」
教皇シーリィーゼが厳かに宣言した。
その中心で、少女は祭壇の前に立ち、一歩前へ出た。
「聖女リオ・アリミヌエは本日、神の御心を以て裁かれる——」
頭から深くかけられているベールに遮られ、その表情を垣間見ることは出来ない。
少女は神官に促され、膝を折った。
「異議あり!」
その瞬間、空気が張り裂けたように揺れる。
突如、教皇の言葉を遮って壇上に響いたその声は、仮設祭壇からではなく、この舞台を娯楽紛いで観覧している賓客席の横から上がった。
カツン、カツン、と石畳を打つヒールの音。
確かな足取りで中央通路へと進み出たのは、祭壇で儀式の所作として神への礼をとっている筈の『本物の聖女』だった。
彼女は堂々と顔を上げていた。
「この裁きは、あなた方の都合による悪質な茶番でしょう!?」
儀礼を取り仕切っている神官たちが慌てて「黙れ!」「不敬だ!」と声を上げるが、理央は一歩も引かなかった。
祭壇へと静かに進んでいく。
彼女の衣の裾が揺れるたびに、仄かな光の粒子が帯となり、道程に奇跡を刻んでいく。
「私は、神を騙ったなどという不当な罪には断固として反論します。そして、それを証明する『客観的証拠』をここに持っているんですよ」
彼女の元監視役……改め、最強の護衛騎士達が彼女を守るよう四方を固める。
仮設祭壇に居た神官達は瞬く間にジークたちによって制圧排除され、頭を垂れていた少女が立ち上がり、自らベールを取り去った。
セイラである。
理央と視線を合わせた彼女は、とびきりの笑顔を返してきた。
理央の緊張を吹き飛ばしてくれるいつも通りの様子に、気を抜くと震えそうになる背中を、理央はしっかりと伸ばす。
それを合図に、アスランが裏から複数の少女を連れて入ってきた。
いずれも髪の色は金色に近く、瞳も青に似た色合いだ。
背格好も理央に似通っている。
そしてそろって怯えた表情を浮かべている。
一人の少女はぽろぽろと泣き出した。
「な、なんなんだ! 突然!」
場を取り仕切っていた枢機卿の一人、ハーランが祭壇脇から飛び出してくる。
「お前たちは――」
この歪んだ思惑に属している観衆は固唾を呑み、中央の仮設祭壇に視線を集める。
一人の小柄な少女が、静かな足取りで舞台に導かれていった。
厳粛な空気の中、白装束に身を包まれた少女は、壇上に立たされる。
「これより――『聖なる裁き』を執り行う」
教皇シーリィーゼが厳かに宣言した。
その中心で、少女は祭壇の前に立ち、一歩前へ出た。
「聖女リオ・アリミヌエは本日、神の御心を以て裁かれる——」
頭から深くかけられているベールに遮られ、その表情を垣間見ることは出来ない。
少女は神官に促され、膝を折った。
「異議あり!」
その瞬間、空気が張り裂けたように揺れる。
突如、教皇の言葉を遮って壇上に響いたその声は、仮設祭壇からではなく、この舞台を娯楽紛いで観覧している賓客席の横から上がった。
カツン、カツン、と石畳を打つヒールの音。
確かな足取りで中央通路へと進み出たのは、祭壇で儀式の所作として神への礼をとっている筈の『本物の聖女』だった。
彼女は堂々と顔を上げていた。
「この裁きは、あなた方の都合による悪質な茶番でしょう!?」
儀礼を取り仕切っている神官たちが慌てて「黙れ!」「不敬だ!」と声を上げるが、理央は一歩も引かなかった。
祭壇へと静かに進んでいく。
彼女の衣の裾が揺れるたびに、仄かな光の粒子が帯となり、道程に奇跡を刻んでいく。
「私は、神を騙ったなどという不当な罪には断固として反論します。そして、それを証明する『客観的証拠』をここに持っているんですよ」
彼女の元監視役……改め、最強の護衛騎士達が彼女を守るよう四方を固める。
仮設祭壇に居た神官達は瞬く間にジークたちによって制圧排除され、頭を垂れていた少女が立ち上がり、自らベールを取り去った。
セイラである。
理央と視線を合わせた彼女は、とびきりの笑顔を返してきた。
理央の緊張を吹き飛ばしてくれるいつも通りの様子に、気を抜くと震えそうになる背中を、理央はしっかりと伸ばす。
それを合図に、アスランが裏から複数の少女を連れて入ってきた。
いずれも髪の色は金色に近く、瞳も青に似た色合いだ。
背格好も理央に似通っている。
そしてそろって怯えた表情を浮かべている。
一人の少女はぽろぽろと泣き出した。
「な、なんなんだ! 突然!」
場を取り仕切っていた枢機卿の一人、ハーランが祭壇脇から飛び出してくる。
「お前たちは――」