転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
32 聖女の業務完了報告!〜ブラック教会をホワイト化したら、最強騎士に溺愛されました〜
聖教会は大規模な粛清と改革を受け、腐敗した権力者たちは次々に失脚していった。
かつて権力と搾取の象徴だった大聖堂は、今や真に民衆のための祈りの場として、その役割を再定義されつつある。
元枢機卿のルメルが教皇代理として、そして若き出世頭であるアスランが特例で枢機卿へと昇進し、新しい教会を築き上げていた。
理央が前世の知識を駆使して作り上げた『新会計制度』と『目標管理型人事制度』は、教会の運営をガラス張りにし、不正の温床を完全に根絶した。
そして、公職としての理央の活動は、王家や教会という旧来の権力に縛られることなく、困窮する民衆を直接助けることに焦点を当てていた。
肩書を最大限に利用して資金を集め、物資を調達し、孤児院や養護院を建て、貧しい人々に医療を施す。
彼女の活動は民衆の間に深く浸透し、真の意味で民に寄り添う存在となっていた。
……しかし、聖女兼・聖務顧問官としての仕事は激務である。
前世のデスクワークから解放されたと喜んでいたはずなのに、今世もまた決裁書類の山に埋もれ、日々頭を抱えることになった。
「ねえ……これ、全部私がハンコ押すの?」
聖務庁の長官室のすぐ隣に設えられている、彼女の執務室。
マホガニーの大きな机の上には、未処理の書類が小山を築いている。
理央がそうぼやくと、長官となったジークの義父、オベールレヒト侯爵が、扉にもたれかかりながら優雅に微笑んだ。
「もちろんです、聖務顧問官殿。あなたの仕事ですよ。我が庁の決裁工程は厳密ですから」
「父上、彼女をからかうのはやめてください」
自身の書類に目を通していたジークが、真顔で釘を刺す。
理央は椅子から立ち上がり、ジークに泣きつき、机から身を乗り出した。
「ジーク! 私の仕事も、手伝ってよ! これ全部終わらないとお昼食べられない! 過労で痩せちゃう!」
「……そういう業務契約ではないはずだが」
「私の胃袋は、もうとっくに限界なの! この前レオたちが食べてた屋台のキッシュ食べたい~! 養護院の手作りクッキーも食べたい~!」
子供のように駄々をこねる理央の言葉に、ジークは深い溜息をつき、理央の頭をぽんと撫でた。
その手つきは、以前の『監視役』の冷たさは消え失せ、もはや甘やかすことに躊躇いがない。
「いいから、座れ。今日はお前の好物を用意させてある」
ジークの言葉に、理央の顔がぱっと明るくなる。
「やった! 大好き!」
彼女の無邪気な言葉に、ジークは少し照れたように顔を逸らす。
「お前の『好き』は、軽いな……」
ぼそりと拗ねたように呟くジークに、理央は聞こえないふりをして、いそいそと机に戻った。
そんな二人を、侯爵は目を細めてにこやかに見守っていた。
温かい時間が過ぎていく。
かつて権力と搾取の象徴だった大聖堂は、今や真に民衆のための祈りの場として、その役割を再定義されつつある。
元枢機卿のルメルが教皇代理として、そして若き出世頭であるアスランが特例で枢機卿へと昇進し、新しい教会を築き上げていた。
理央が前世の知識を駆使して作り上げた『新会計制度』と『目標管理型人事制度』は、教会の運営をガラス張りにし、不正の温床を完全に根絶した。
そして、公職としての理央の活動は、王家や教会という旧来の権力に縛られることなく、困窮する民衆を直接助けることに焦点を当てていた。
肩書を最大限に利用して資金を集め、物資を調達し、孤児院や養護院を建て、貧しい人々に医療を施す。
彼女の活動は民衆の間に深く浸透し、真の意味で民に寄り添う存在となっていた。
……しかし、聖女兼・聖務顧問官としての仕事は激務である。
前世のデスクワークから解放されたと喜んでいたはずなのに、今世もまた決裁書類の山に埋もれ、日々頭を抱えることになった。
「ねえ……これ、全部私がハンコ押すの?」
聖務庁の長官室のすぐ隣に設えられている、彼女の執務室。
マホガニーの大きな机の上には、未処理の書類が小山を築いている。
理央がそうぼやくと、長官となったジークの義父、オベールレヒト侯爵が、扉にもたれかかりながら優雅に微笑んだ。
「もちろんです、聖務顧問官殿。あなたの仕事ですよ。我が庁の決裁工程は厳密ですから」
「父上、彼女をからかうのはやめてください」
自身の書類に目を通していたジークが、真顔で釘を刺す。
理央は椅子から立ち上がり、ジークに泣きつき、机から身を乗り出した。
「ジーク! 私の仕事も、手伝ってよ! これ全部終わらないとお昼食べられない! 過労で痩せちゃう!」
「……そういう業務契約ではないはずだが」
「私の胃袋は、もうとっくに限界なの! この前レオたちが食べてた屋台のキッシュ食べたい~! 養護院の手作りクッキーも食べたい~!」
子供のように駄々をこねる理央の言葉に、ジークは深い溜息をつき、理央の頭をぽんと撫でた。
その手つきは、以前の『監視役』の冷たさは消え失せ、もはや甘やかすことに躊躇いがない。
「いいから、座れ。今日はお前の好物を用意させてある」
ジークの言葉に、理央の顔がぱっと明るくなる。
「やった! 大好き!」
彼女の無邪気な言葉に、ジークは少し照れたように顔を逸らす。
「お前の『好き』は、軽いな……」
ぼそりと拗ねたように呟くジークに、理央は聞こえないふりをして、いそいそと机に戻った。
そんな二人を、侯爵は目を細めてにこやかに見守っていた。
温かい時間が過ぎていく。