黒原紫音さんのレビュー一覧
泣いて縋ることができたら、こうはならない。
泣いて縋るくらいなら、これでいい。
大人になれば誰だって恋を失うことがある。
何もせずに受け身のまま初めての恋を実らせるのはフィクションで、フィクションを求める人もいれば、そうじゃない人もいる。
たったひとりでハイクラスの部屋でカップアイスを食べる。広がる甘さに涙が出る。なんだこれ数年前の私じゃん、と思い当たる女は絶対に少なくない。
そう、泣くのは今夜だけ。
大きなバスタブに埋まって上等なアメニティを贅沢に使って、明日にはきっと涙は止まる。
そしてまた、他の誰かを好きになる。
(私は読了後にハーゲン食べました。美味しかった)
ハイクラスのホテルは男と行くものにあらず。(個人的持論なので悪しからず)
あの空間を楽しめる遺伝子を保有してるのは女で、その感覚を共有できるのもまた女だから。
惚れた男となら場所なんてどうでもいい。むしろ部屋がもったいない。どうせすることは安ホテルでも同じですもの(小声)
でも終わった恋にピリオドを打って改行して改頁するなら、こうでなくちゃ。
女は女を裏切るし、足を引っ張るし、蹴落としたりもする。
でも女の味方もやっぱり女で、こういう時間が次の恋に向かわせるんだよね。
最後の一行、好きだなぁ。
そう。いかなる時も、女は女を諦めない。
まゆさんの書くラブストーリーを読むと、こんな風に人を好きになれたらよかったのになぁと思います。(過去形である。手遅れなので)
私は幸せにして欲しいと求めるばかりの受け身女は大嫌いですが、そのために必死に足掻いて、泣いて、踏ん張る女は綺麗だし可愛いし愛しいと思うのです。
不器用で、鈍感で、ここぞというときに誰にも頼れない弱さを抱える彼女と、彼女を支えることで前を向く色男が二人。
よかった。これできっと三人は今よりずっとずっと頑張れる。
三人(と一匹)で新たに築く家族は誰がなんと言おうと幸せになる。
勝手な想像ですが、成長するにつれ小さなヒーローは石月氏に似てくるんじゃないかしら(にやにや
どうか、末長くお幸せに。
(あーぁ、どうしてわたしの職場の上司は俺様殿様お子様のクソ男でイケメンじゃないんだろう(´・ω・`))
生を失った少女
彼女を喪った少年
彼女と唯一繋がれる少女
彼らを支える少年
四人が過ごす一夏は彼等が抱えるには、余りにも切なくてだからこそ一際に輝かしい。
終わらない夏はないし、永遠の命もない。でも彼等はそれを永遠に変える術を見出すのです。
少しのエゴとそれを受け止める大きな優しさと、希望に満ちたお話です。若い世代にこそぜひとも読んでいただきたいです。
誰もが認める良い男が物理的にも自分にしか触れないとしたら…?
しかもその男がなんかすごいキスとかしてきたら…?
さらにさらにその男が「わかりやすく愛を伝える」ときたら…?
女はもう両手あげて白旗振るしかないです。
わかりやすく愛を伝えてくれる殿方って本当に素敵ですよね。
言わなくてもわかるだろ、とか、そんな甘えも思い上がりもなく、真っ直ぐに伝えてくれる殿方に愛される女でありたいものです。
しかし真塩くん、君はほんとうにずるい男だな!
通勤途中にでもぜひとも真塩氏の魅力を味わってください。
本当はずっと前からスタートラインには立っている。 でもそこから一歩を踏み出すのは、誰だって不安で怖くて動けなくなる。 一度は閉ざしてしまった世界。 不本意で切ってしまったゴールテープ。 でも、まだ終わりじゃないから。 世界はこんなにも広いから。 空は広くて、真夜中にだって小さくとも光はあるでしょう。 走ってるだけでは見えなかった星空を見上げて、そこに広がる新しい世界を感じて。愛しい手を取り合って。 On your marks, さぁ、新たなスタートだ。 世界がどこまでも広がる可能性を秘めている10代の世代に広く読まれますように。 躓いても、何度だってスタートラインに立てることが、広く伝わりますように。
本当はずっと前からスタートラインには立っている。
でもそこから一歩を踏み出すのは、誰だって不安で怖くて動けなくなる。
一度は閉ざしてしまった世界。
不本意で切ってしまったゴールテープ。
でも、まだ終わりじゃないから。
世界はこんなにも広いから。
空は広くて、真夜中にだって小さくとも光はあるでしょう。
走ってるだけでは見えなかった星空を見上げて、そこに広がる新しい世界を感じて。愛しい手を取り合って。
On your marks,
さぁ、新たなスタートだ。
世界がどこまでも広がる可能性を秘めている10代の世代に広く読まれますように。
躓いても、何度だってスタートラインに立てることが、広く伝わりますように。
好きって気持ちだけでどこまで走れる?
いやいや、この年になると走れないでしょ無理でしょってちょっと待ったぁぁぁ!(息切れ)
走れてるじゃんむしろ走り過ぎじゃないの前見なきゃダメだよ!(息切れ再)
独り言を晒してしまうほど私のハートが撃ち抜かれました。
新しいことを始める原動力っていくつになっても同じ。転んでも傾いても起き上がるの大変でもそれでも突き進む気持ちがあるなら大事にしないと。
私(達)が忘れてしまったものを後生大事に真白ちゃんは持ってくれてることが嬉しい。そして彼女を大事にしてくれる人がいてさらに嬉しい。
あぁちくしょう、恋したいな(小声)
子どもだったあの頃の何もできない自分じゃない。だからなんとかしたい。でも、大人になったからこそ身動きがとれなかったりする。二度目の失恋?まさか。
消えない音。消せない旋律。
手繰り寄せたなら、二度と放さないように。
これはとても個人的な願望ですが、二人の譜面のラストにフェルマータがあることを祈るばかりです。
それから奏真くん。帰国したらぜひエリックサティを彼女に弾いてあげてください。
願わくば、青空の下で。
30歳の女は、もう好いた惚れただけじゃ結婚なんて決められない、決めちゃいけない。
なのにどうしてダメな男を振り切れないんだろう。答えは一目瞭然。『そんな男はやめておけ』
でもそれができたら苦労しない。10年も時間はかからない。わかってるけど好きで、好きなのに素直に愛せなくて年輪重ねた女はメンドクサイ。
読んでいて横面叩かれた気分です。30女はメンドクサイのです。でもそれが女ってものでしょう。足掻いた分だけ幸せになってみせますよね、ミズキちゃん。
不完全で、不器用で、未熟。
ただシンプルな感情に従って紡ぐ不完全な愛情、関係、未来。
10代だからこそできる恋愛で、でも10代の男女が抱えるには少し大き過ぎる“壁”。
晃と冬海が羨ましくもあり危うくもあり、お節介ながら二人の決して楽ではないこの先を想ってしばし胸を痛めました。
螢さんはいつも難儀な方を選んで言葉を紡いでるように思えます。もっと安易で楽な言葉もストーリーもあるのに敢えてこの選択をして書き切る心意気に拍手を贈りたいです。
だって安易に書く方がラクですもの。
でもそれをしないからこその“蒼山螢”なのでしょうね。流石です。
月は自らは光を発しません。
他者から譲り受けた光で形を変える月光は、不完全な彼等を照らすに相応しいものなのかもしれませんね。
何色でも構わないので二人の明日が同じ色に照らされますようにと祈るばかりです。
まず、タイトルが秀逸です。 ありふれた、もっと意地の悪い言い方をしてみれば釣りワードを盛り込んだタイトルとストーリーが大量生産されていくこの場所で、このタイトルと、そしてこのストーリーを書き切る著者様の心意気に拍手。 こんな場所で埋れていい作品ではありません。書籍として文芸コーナーに陳列されるべき作品です。 行方不明の男。 彼を求める女、彼女に惹かれる男。 複雑で静かな狂気を孕んだ多角関係、行方不明の彼のごとく見えない真実、見えない本心、見えないラスト。 彼女はまさに孤高の魚。 光の刺さない海の底を彷徨って徐々に光を求めて浮上していくような、息苦しさすら心地良いと思える作品です。 あなたもぜひ彼等と共に彷徨い、足掻き、一筋の光にも似たラストまで辿り着いてください。 (書籍にしてくれないかなぁ。絶対買うのに!)
まず、タイトルが秀逸です。
ありふれた、もっと意地の悪い言い方をしてみれば釣りワードを盛り込んだタイトルとストーリーが大量生産されていくこの場所で、このタイトルと、そしてこのストーリーを書き切る著者様の心意気に拍手。
こんな場所で埋れていい作品ではありません。書籍として文芸コーナーに陳列されるべき作品です。
行方不明の男。
彼を求める女、彼女に惹かれる男。
複雑で静かな狂気を孕んだ多角関係、行方不明の彼のごとく見えない真実、見えない本心、見えないラスト。
彼女はまさに孤高の魚。
光の刺さない海の底を彷徨って徐々に光を求めて浮上していくような、息苦しさすら心地良いと思える作品です。
あなたもぜひ彼等と共に彷徨い、足掻き、一筋の光にも似たラストまで辿り着いてください。
(書籍にしてくれないかなぁ。絶対買うのに!)
大人になればなるほど愛も恋も面倒ばかり。
男の狡さも女の弱さも取り繕うことなく書き切った著者様の筆力に全面降伏といったところです。
全てを捧げること即ち全てを受け入れることですよね。
彼の“あとがき”を読んで頭を殴られたような気がしました。
恋愛も小説も楽な方に流されがちです。
そんな中で、痛い方痛い方を選んで先に進むヒロインと著者様は間違いなく“オトナ女子”ですね。
逃げ道ですら痛みを伴うことを思い出しました。
俄かオトナ女子の目を覚ます起爆剤に相応しい秀作だと思います。
私の目も覚めました。
ありがとうございました。
何から何まで一縷の隙もなくパーフェクト。 無駄なものが一切なく、また不足するものもなく、何も言えないほどの完成度。 それなのに決して読者を突き離さない絶対的な引力。 それは、まるで『彼』のような。 単行本上下巻だろうが文庫10冊になろうが買います。 買いますから、どうか書籍で読ませてください。 この作品が紙媒体として世界に残ることを強く望みます。
何から何まで一縷の隙もなくパーフェクト。
無駄なものが一切なく、また不足するものもなく、何も言えないほどの完成度。
それなのに決して読者を突き離さない絶対的な引力。
それは、まるで『彼』のような。
単行本上下巻だろうが文庫10冊になろうが買います。
買いますから、どうか書籍で読ませてください。
この作品が紙媒体として世界に残ることを強く望みます。
まさに王道。
しかしながらこの『王道』を見事に書き上げ、容易に読者の心を絡め取り作品の内側に誘う引力が強烈でした。
エンデやトールキンを読んでいる心地にも似た極上のファンタジーです。
特にヒロインが素晴しいです。
ここまで清廉潔白だと読者から反感を買ってもよさそうなのに彼女にはそれがありません。
その高潔さが、健気さが、率直さが、国を守る守り神のごとく作品の芯となって支えています。
彼女が鎧を纏い、一角獣に跨る威風堂々とした姿が脳裏に浮かぶようでした。
(そのシーンは鳥肌モノです!)
筆者様の筆力に参りましたというほかありません。
(個人的にはティレルがだいすき!家に連れて帰って毎日沐浴させたいっ)
ありがちな異世界トリップをここまで読ませる構成と筆致が素晴らしいです。 フィクションを読者の至近距離まで持っていき、さらに内側に取り込むことがいかに難しいかは身を以て知っていますがそれを見事に成し得た素敵な作品です。 テンポも絶妙で読者を置き去りにすることなくラストまで連れて行ってくれます。 これも作者様の緻密な計算なのかしらと深読みしつつ、ラストの一文にハートを射抜かれました。完敗です。 こんな科学者になら生体実験されてみたいものです。(しみじみ) 入賞するといいなー。
ありがちな異世界トリップをここまで読ませる構成と筆致が素晴らしいです。
フィクションを読者の至近距離まで持っていき、さらに内側に取り込むことがいかに難しいかは身を以て知っていますがそれを見事に成し得た素敵な作品です。
テンポも絶妙で読者を置き去りにすることなくラストまで連れて行ってくれます。
これも作者様の緻密な計算なのかしらと深読みしつつ、ラストの一文にハートを射抜かれました。完敗です。
こんな科学者になら生体実験されてみたいものです。(しみじみ)
入賞するといいなー。