笑うことも、泣くことも、声を出すことも許されなかった少女――リアナ。 孤独に育ち、人形のように日々を生きてきた彼女の唯一の救いは、心を映す絵を描くことだけだった。 18歳の誕生日、彼女は“冷徹冷王”ヴァルゼンの婚約者となる。 無表情で冷たい王の瞳の奥に、次第に隠された優しさと愛を見つけるリアナ。 彼の心に触れるたび、少女の声は震え、少しずつ言葉と笑顔を取り戻していく――。 沈黙の花嫁と冷王が紡ぐ、切なくも甘い愛の物語。 声を取り戻すたびに満たされていく王の心、そして笑い、涙、喜び―― すべての瞬間が二人を結ぶ、特別な恋の軌跡。

価値観が多様化し、恋愛の形も無数に広がった令和の時代。 誰もが自由に恋をしていいはずなのに── 仕事、家族、経済、SNS、過去の傷…… 大人になるほど、恋には“越えるべき壁”が増えていく。 この物語は、そんな現代を生きるふたりが偶然の出会いをきっかけに、 互いの“違い”に戸惑いながらも惹かれ合っていく、大人の恋の物語です。 立場も生活リズムも生きてきた世界も違う。 恋に慎重になり、簡単に距離を縮められない年齢になったからこそ、 相手の一言や沈黙に心が揺れ、大切にしたいものが増えていく。 それでもなお、触れたい、知りたい、そばにいたい── そんな静かで切実な想いが物語を紡いでいきます。 ふたりの前には、現代ならではの壁が次々と現れます。 仕事の責任、すれ違う時間、家族の問題、将来への不安。 そしてSNSから生まれる誤解や、 “正しさ”より“楽さ”が求められる時代特有の恋の難しさ。 それらはときにふたりを隔て、ときに深く傷つけ、 それでも乗り越えようとする理由を探させる。 恋はいつだって、ひとつの選択。 踏み出す勇気も、引き返す痛みも、大人だからよく知っている。 それでももう一度だけ信じたいと思えたのは── 出会った相手が、あなただったから。 静かに、でも確かに重なっていく心の温度。 迷いながら、傷つきながら、それでも前に進もうとするふたりの姿を、 どうか見届けてください。 令和の恋の形に寄り添いながら描く、 “障壁のある恋”を越えていく大人たちの物語。