さかきま黄傘さんの作品一覧

まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~

総文字数/13,757

ミステリー・サスペンス71ページ

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「空想科学」という雑誌を熱心に読んでいる男の子の写真は、かつて老婆が肌身離さず大切に持ち歩いていた物だった。 彼女自身がそれを、二つに破って床へ捨てたのだろう。 床には汚物のついた下着が散乱していて、その写真の一片は汚物にまみれていた。 老婆はしゃがみこんで汚物をこねくりながら、不思議そうな顔でこちらを見ている。 それが、 失われた記憶の最深部にあるものだ。
野良犬

総文字数/3,460

絵本・童話32ページ

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寒い寒い冬の日。 金属の格子で作られた檻が、通り道の家の軒先に置かれていた。檻の周りには、ひと粒ふた粒のドッグフードが転がっている。 そのひとつめを慎重に調べてから口に入れてみたところ、舌のとろけるような肉の味がした。丸二日間、何も食っていないのだから、余計にうまいと感じる。 今度は檻の中にあるやつを食べようと思い、入り口付近のやつを幾つか食べ、さらに檻の奥へずいと頭を突っ込んだところで、いきなりガシャンという大きな音がした。 それは、人間の仕掛けた捕獲檻というやつであった。 ばかな私は、こうして人間に捕らえられてしまったのである。
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