この気持ちは、もう終わったはずだった。 だけど、心のどこかで、まだ手放せずにいた。 中学時代、何も伝えられずに終わった初恋。 大学に入ってすぐの同窓会で、私は――彼に、再び出会った。 しかも、まさか同じ大学に通っているなんて、 そんな偶然、運命以外の何だというの。 変わったものも、変わらなかったものもあって。 遠くなった気がして、でも、やっぱり私は……まだ、あなたが好きだった。 《上月 紬希》 ─Kouzuki Tsumugi─ ＊おだやかな努力家、元演劇部のエース＊ 目立たない日々の中に、静かな情熱を隠して生きている。 過去の恋に終止符を打とうとしながら、心はまだ、あの日のまま。 《宮崎 千颯》 ─Miyazaki Chihaya─ ＊数学を愛する、静かに熱い青年＊ 仲間内ではよく笑うけれど、どこか一歩引いた場所にいる。 無意識の優しさが、時に紬希の心をかき乱す。 彼は言った。 「また、同じ場所にいるんだな。」 それは何気ない言葉だったかもしれない。 でも私には、 世界が静かに、優しく、再び回り出したみたいだった。 まだ、好きでいてもいいの？ 答えを探すように、私は、あなたを見つめた。 「再会は、まだ好きだった証拠。」 そんな想いを胸に、 私たちはまた、すれ違いながら、近づいていく。 【再会は、まだ好きだった証拠】 開始▶2025/05/14 終了▶ ──初めまして、花縫ゆりはです。 小さな恋の続きが、誰かの心にそっと寄り添えますように。 どうぞ、よろしくお願いいたします。

この世界に、居場所はなかった。 ひとりきり、森を彷徨い、辿り着いたのは、 人ならざるものたちが静かに生きる、隠された旅館だった。 そこで出会ったのは、 冷たく見えて、誰よりもやさしい心を持つ旅館の主。 光のない夜に、 二人の運命は、静かに重なっていく。 たとえ、違う世界を生きていたとしても。 たとえ、終わりが待っていたとしても。 私は、あなたに、恋をしてしまった。 《九十九 佳乃》 ─Tsukumo Yoshino─ ＊気が強く、まっすぐな心を持つ元巫女＊ 故郷を追われ、居場所を失った少女。 傷つきながらも、誰よりもあたたかな魂を抱く。 《朧月》 ─Oborozuki─ ＊無口で潔癖な旅館の若き主人＊ 人間と妖のはざまで、静かに旅館を守る。 凍りついた心に、誰にも言えない寂しさを隠している。 彼は言った。 「ここにいるなら、規律は守れ。」 それは拒絶にも、救いにも聞こえた。 壊れかけた心を抱えて、私は静かにうなずいた。 そして、知らなかった。 この先、私がどれほど深く、 この人を愛することになるかなんて。 「幻灯に照らされて出会った恋が、未来を紡ぐ。」 【幻灯の恋】 開始▶2025/05/14 終了▶ 初めまして、花縫ゆりはです。 言葉のひとしずくが、誰かの心に寄り添えますように──。 どうぞ、よろしくお願いいたします。