【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
番外編【美桜】
奥様達とのお付き合い
瑞生さんと結婚し、スケジュール管理や時節のご挨拶の手紙やお礼状、会議や会食の手配などを任され、社長秘書としての日々を過ごしていた。
そして、秘書だった八木沢さんは沖重グループ社長として、頑張ってくれている。
そんな中で唯一の悩みと言えば―――
マンションの入り口。
エントランスで常務の奥様である宮ノ入聖子さんが待ち構えていたかのように私の目の前に現れた。
「美桜さん、ホームパーティーをなさっているんですって?」
ホームパーティ?言われて記憶を辿ったけれど、覚えがない。
「こんにちは。あの…ホームパーティーを開いたことはないと思うのですけど」
最近、マンションのエントランスで宮ノ入グループ常務の奥様である聖子さんから呼び止められることが多い。
母親くらいの年齢の聖子さんはお金持ちのマダムといったかんじで、奥様達のリーダー的存在だった。
マンションには宮ノ入の親戚が集まっているというけれど、聖子さん以外からは挨拶程度しか声をかけられない。
宮ノ入のトップである瑞生さんには皆、距離を置いている。
瑞生さんの人づき合いを好まない性格のせいもあるだろうけど……。
「あら、私の旦那が言うには社長と八木沢さんが美桜さんの焼いてくれるケーキが美味しいと、褒めていたと聞いたのだけど」
私が焼いた簡単なケーキを二人が食べている規模でホームパーティー?
しかも、空いた時間に瑞生さんと八木沢さんがお茶をしているだけの話なのに。
瑞生さんが常務にケーキを自慢しただけで、こんなに話が大きくなるとは思わなかった。
「美桜さん。こんなことは言いたくないのですけど。社長夫人となられたからには子会社や部下の奥様達に目を配って頂きたいの。今までは私がホームパーティーを開いたり、自宅にフラワーアレンジメントの先生をお呼びしたり、懇意にしているシェフにお願いして料理教室をして頂いていたのよ」
懇意のシェフ!?
そんな人はいないし、自宅に大勢招くのは瑞生さんが絶対嫌がるに違いない。
「私もね、瑞生さんは自分の子供のように心配しているのよ。社交が苦手でいらっしゃるでしょ?だからね、妻のあなたがフォローしていただきたいの」
「そうですね。ご指導頂き、ありがとうございます。夕飯の支度がありますので、また」