極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
1.
 今日もこの場所は、小さな命の音で溢れている。
 昼夜問わず誰かしらが泣き声をあげ、モニターもしょっちゅう鳴っていて忙しない。
 モニターは心拍や酸素飽和度の数値が標準から外れると鳴るため、決して安心できるものではない。
 けれど、ベビーが動いてモニターに繋がる機器がずれ、うまく測定できずに鳴るケースも多いのだ。
 容体が悪くなっているときは焦ってしまうけれど、いっぱい動いてずれちゃったんだな、元気だな、なんて確認できる時はほっこりする。

 ここは都立桜が丘総合病院。
 二十以上の診療科を持ち、外来患者は一日千人を超える。
 周産期母子医療センターにも認定されているこの病院は、NICU十床、GCU二十床を有している。
 NICUとは、低出生体重や何らかの疾患を持って生まれてきた赤ちゃんが入る新生児集中治療室。
 GCUは、NICUで状態が回復してきた赤ちゃんが移動してくる新生児回復室だ。
 私——小鳥遊菜乃花(たかなしなのか)二十七歳は、GCUで看護師として働いている。

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