神に選ばれなかった者達 前編
負けて悔しい花一匁Ⅱ

響也side

―――――――…たった一人、ゾンビから逃げそびれて。

炎に巻かれたお返しとばかりに、ゾンビに身体を食われながら。

俺は、ぼんやりと考えた。

何でこうなってしまったんだろう、と。

昔からそうだった。俺は。

理不尽な環境に置かれて、どうすれば良いか分からなくなった時。

立ち向かう勇気がない。ただ、立ちはだかる巨大な壁を前に、跪き、絶望して、涙を流すことしか出来ない。

昔とまったく変わっていない。愚かで、無様な自分。

俺が何よりも絶望していたのは、作戦が失敗したことではなく、そんな愚かな自分だった。

何をしても変わらない。自分はとんでもなく駄目な奴だ、って。

そう思うのは、人生で2回目だった。





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