神に選ばれなかった者達 前編
負けて悔しい花一匁Ⅰ

響也side

―――――…夢の中で、誰かが謝っているような声がした。

あまりに申し訳無さそうで、思わず許すと言ってやりたくなる。

だけど、俺は知っている。

謝っても謝っても、決して許されないことが、この世にはあるのだと。

一体誰の声なのか。初めて聞くような、何処かで聞いたことがあるような…。

…いや、違う。自分の声だ。

過去の自分が、必死に謝っている声。

許されないことは分かっているけれど、それでも必死に、泣きながら謝る自分の声…。




その時、誰かが部屋のドアをノックする音がした。

「響也(きょうや)兄ちゃん。おはよう。起きてる?」

俺を呼ぶその声に、暗闇から現実の世界に引き戻された。









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