幼馴染の御曹司との契約結婚には秘密があって!?
心の支え
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目が覚めてリビングに向かうと、すでに出勤の支度を終えてスーツを着た涼成くんの姿があった。
起きてきた私をちらっと見てから視線を逸らす。
カバンを手に取り、もう片方の手で持つスマートフォンに視線を落としたままこちらに向かって歩いてきた。
「……行ってくる」
すれ違いざまに短くそう声をかけられた。
「行ってらっしゃい」
振り返った私が言葉を返したときにはすでに涼成くんの姿はリビングになかった。
パタンとむなしく扉がしまる。
涼成くんの部屋でベッドに押し倒されてから数日が経った。
あの日以来、彼はあからさまに私を避けている。
以前よりも出勤時間を早めたり、帰宅時間を遅くしたりして私とのかかわりを最小限に抑えようとしているようだ。
おそらく気まずいのだろう。
それは私も同じだ。
だから私からもどう歩み寄っていいのかわからず、私たちは今とても微妙な関係が続いている。
それに、涼成くんと梨央ちゃんの問題も解決していない。
真実を確かめようと涼成くんの部屋に行ったはずが、突然ベッドに押し倒されて逃げるように彼の部屋を後にしたから。
だから、真実がはっきりとしていない。