幼馴染の御曹司との契約結婚には秘密があって!?
過去
***
TAKIGAWAホールディングス本社ビル。
役員室の執務デスクで仕事をしているとノックの音が聞こえた。
「入るぞ」
入室してきたのは秘書の鳴海琢磨。俺と同じ二十九歳で、母親同士がいとこという関係だ。
琢磨とは子供の頃から親しく、今は仕事の良きパートナーとして支えてもらっている。
「どうした?」
なにか用事があり報告に来たのだろう。
話を聞くために執務デスクから応接セットのソファに移動して腰を下ろした。
向かいの席に座った琢磨が口を開く。
「中東地域で原油の調達を担当している部署から報告があった。国同士のちょっとしたトラブルで経由地の国に船が入れなくなったらしい」
TAKIGAWAホールディングスは世界中から原油を仕入れ、石油や石油化学製品に加工している会社だ。
原油のほとんどを輸入に頼っているため、世界中から仕入れなければならない。
今回のようなトラブルが起こると原油を乗せたタンカーが日本に帰国できず、国内の石油が不足するなどの影響が出る可能性もある。
「対応は?」