悪事通報アプリ
階段

私はもう誰からもイジメられない。
花乃もそう。
これから先はごく普通の高校生生活を楽しむことができる。

「もうこのアプリはいらないかな」
放課後、教室から出て花乃と一緒に歩きながら私はスマホを取り出した。

「え? もしかして消すの?」
「だって、もう必要ないよね?」

「でも消すのはもったいないよ。イジメられなくても悪いことを回避できるんだからさ」

例えばそれはテストで悪い点を取るとか、事故や病気に遭うとかそうことだろうか。

それらからも回避できるのならたしかに持っていてもいいかもしれない。
「だからさ、明日の朝も公園で待ち合わせね?」

花乃が楽しげに行く。
朝公園で待ち合わせることは私達にとって日課になっていた。

あれをやめてしまうのは確かにもったいない気がする。
「わかった。明日の朝も公園で会おう」

私はそう言い、花乃の手を握りしめたのだった。
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