悪事通報アプリ
万引
翌日の朝も花乃と公園で待ち合わせをした。
最近ではこの時間に家を出ることにも慣れてきて、お母さんにもなにも言われなくなってきた。
「おはよう花乃」

「おはよう」
ベンチに座っていた花乃がスマホから視線を外して微笑む。

そんな花乃に缶のコーラを差し出した。
昨日家族で買い物に行った時についで買ってきたものだった。

花乃にあげようと思って。
「くれるの?」
「うん。昨日のクレープのお礼」

それにしては安上がりになったなと思ったけれど、花乃は気にする様子もなく缶の蓋を開けて一口飲んだ。

炭酸が口の中で弾けたようで、顔をしかめて「はぁー」と大きく息を吐き出した。
その姿がまるでビールを飲むおじさんのように見えて、思わず笑ってしまった。

「えへへ。炭酸を飲むとぷはぁって気分になるよね?」
「うん。わかる」

頷いてから同じようにコーラを一口飲んで、少しだけ口の中がしみた。
昨日できた傷がまだちょっとだけ残っているみたいだ。

頬もそれほど目立たないけれど腫れていることは確かだった。
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