コンネリシャス王国の  恋物語

バンアロアの天使

そんな五月のある日、トピアーズ共和国は我が国と友好条約を結ぶことを提案してきた。

その条件の一つがトピアーズ共和国の第一王女アリレアとジュオン王子の婚姻だった。

アリレア王女のほうが二歳年上になるが、婚姻を結ぶのには年頃は釣り合っている。

姻戚関係があればお互いに信用できると言うのがかの国の主張らしい。

ルルは内心穏やかではなかったが、その話を父親からも兄からも、そしてイリスからも聞かされた時 至極冷静に受け止めることができた。

ルルはジュオン王子を信頼しているし彼の決めた事に否を称えるつもりもなかった。

彼はこの国の王子で次期国王なのだ。

国のことを第一に考えて行動することを期待されている。

ジュオン王子もそのつもりでこれまでの人生を生きてきたのだ。

それがこの国にとって必要なことでどうしても逃れられないなら王女との婚姻を受け入れるだろう。

ルルが何か言うことでその決心を覆らせることはしたくないし、するべきではないと覚悟を決めていた。

付き合い始めたころと違い二年もたってルルは大人になっていた。

そして、ジュオン王子の立場や、自分の立ち位置も理解するようになった。

ルルはジュオン王子とそっと距離を取って会えない日々も寂しさも顔には見せずに明るく過ごしていた。
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