DEAR 1st 〜 SEASON〜
第7章 理由

第7章 理由


第7章 理由




季節は夏真っ盛り。


蝉がジージー相変わらずうるさくて、それを聞いただけで暑さが増す。


……そんな暑さも、成績表を貰うと同時に冷や汗へと変化した。




「うぅっそぉ……。」




成績表の数字を見て愕然。

苦手科目の数学、化学が悲惨な数字をマークしている。



やっばぁ……。

でも、そんな焦りとは裏腹に。




「やっだぁ彩!
ナナの方がまだ更に底を行くよー?

見てみてアヒルっ!」




ナナがケラケラと笑い、
あたしに何ともお粗末な成績表を見せて来た。




アヒル……

いや“2”ばっかりが白紙の上を泳いでる。





「………ぶっ!
本当にアヒルばっかじゃん!」



「でっしょー?
ある意味ナナは光栄だよ!!」


「すっごー。
夏休みは補習ばっかりだね?」


「彩もでしょー?」


「ナナ程じゃないもーん♪」


「何だと!
僅差で変わらんじゃん!」




二人で笑い合い、
お互いのお粗末な成績を称え合う。



見事にあたしとナナは夏休みは補習組。


明日から夏休みだっていうのにそんな気がしないのは、補習授業が待っているから。



「なーんでナナ、こんなレベル高い学校に合格したのか未だに謎だよ…。」



「中学ん時に無理し過ぎたねー。
あたしたち、何か完全に浮いてる気がするし。」




……そう。
この学校のレベルが高いのは、入学する前から分かっていたこと。



でも、いくらそうだとしても…。



まだ学生だよ?

明日からは夏休みだよ?

遊びたいに決まってるじゃん……。




「あーぁ。気ー重…
何か楽しい事ない訳ー?」




あたしが無意味にそう叫んだ時。




「あーあるある♪
これこれっ♪」



ナナが机の上に一枚の紙をバシリと放った。
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