Dearest 1st 〜Dream〜
第9章 涙の雨
第9章 涙の雨
第9章 涙の雨
色鮮やかな木々の葉が、
優しく空を舞う。
短い夏はあっと言う間に終わりを告げ、新しい季節がまたやって来た。
─────秋。
“紅”はこの季節最大のイベントの真っ最中にいた。
……学園祭ライブ。
俺達が通う音大にとっての最大イベントだ。
やはり音楽に対しての設備がハンパなくいい事から、この“学園祭ライブ”は一年のうち最も盛り上がる行事で。
毎年ある大きいホールを貸し切り、大勢の人の前で演奏を出来る事から、沢山のバンドや楽器演奏が催されている。
俺が率いる“紅”ももちろんこのイベントに参加。
────ワァァッ…!
湧き上がる歓声の中、
壱のギター、
吾郎のベース、
マリアのドラム、
───…そして
「──────♪」
何もかもを弾き飛ばすように声を荒げる俺がいた。