Dearest 1st 〜Dream〜
第11章 決断

第11章 決断





第11章 決断







────……ビュウウウッ…!!






風に舞って、木枯らしが揺れる。




もみじやイチョウの色彩が、澄み渡った秋空に輝く。






────……11月。






もうすぐ、本格的な冬が始まる。






俺は海に近い場所に立ち、強い風に吹かれながら墓前の前で一人手を合わせていた。






「純ーっっっっ!」






ふいに名前を呼ばれ、

閉じていた目を開き、振り向く。





「……チカ……」




「もう~!!

純ってば車の中にお線香忘れてくるんだもん!

最近ボーっとし過ぎじゃない?」






「あぁ…ごめん。」







──…今日は、お袋の墓参りに地元に帰って来た。





本当は一人で来ようと思ったのだが……





“一緒に行く”と言って付いて来たチカと共に、海沿いにそびえ立つ墓にやって来た。







──…Zippoの火を線香に灯し、揺れる煙を見つめていると──…






「……またボーっとして。ほら、貸して。」





チカは俺の手から線香の束を取り、お袋の墓前に供えていく。






「……ねぇ、純。」





「ん?」






「……純のお母さん亡くなってから今年で何年目になるの?」





チカは墓を見つめながら、風に吹かれる俺にそう尋ねた。






「……もう12年。




癌が見つかってからは、あっけなかったな。




……末期やったから。」





「……そう……」





チカは目を細めながら、俺を見つめた。






「……純のお母さんってどんな人だった?」




「え?」





「何か気になったの。」





「……んー……」






俺はチカの手から線香を受け取り、首を傾げた。

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