Dearest 1st 〜Dream〜
第12章 散りゆく恋
第12章 散りゆく恋
第12章 散りゆく恋
────フッ……。
夜が明け、
目を覚ました世界はこれでもかという程、モノクロに染まっていた。
──…黒か、白か、灰色か。
識別も出来ない程に淀み、濁ってしまったこの世界。
…いくらこれは夢だと願っても、
────ズキッ!!
「…………っ……」
燃えるような肩の痛みに、夢だという甘い考えは簡単に壊されてしまう。
──…幸い、大事には至らなかった。
傷自体は浅いからそんなに心配はいらないのだが、傷の範囲が大きすぎた。
肩から腕にかけて全体的に浅く広く切りつけられており、手を動かすたびに激痛が走る毎日。
病院でも不可思議だと言わんばかりの顔をされ、
『工事のバイトで怪我をした』
とシラを切った。
もう……
これ以上、事を大きくしたくなくて。
……というか、触れられたくなくて。
この件に関しては、一切誰にも話していなかった。
──…あいつらにさえも。