Dearest 1st 〜Dream〜
第16章 スタートライン
第16章 スタートライン
第16章 スタートライン
─────ヒラヒラ……。
桜の花びらが情緒豊かに揺れる。
───…いつしか季節は流れ、また新たな季節がやって来た。
「春だねーッッ!!!!!
お花見お花見楽しいな~♪」
「うっさいわね猿。
猿は花見より団子でしょ。」
「はぁ~!?!?団子もうまいけど、桜は日本の心だろ!!」
「へぇー。猿は日本猿だったのね~。」
「はぁぁぁぁあ!?!?!?」
「あー、はいはい。
壱は日本猿って事で間違いないよ。
だからケンカはもーやめろって。」
「ちょっとゴローちゃん!!
うまくまとめないでよぉ!!!!!
違うんだってば、それはマリアが勝手に……」
───……いつも通り仲間の声が遠くから聞こえて来て、俺はフッと笑った。
───ここはお気に入りのあの山頂。
来たのは多分一年ぶり。
何せ彩に告白して玉砕した、ある意味思い出深い場所。
今日、そんな場所に彩以外の人間を初めて連れてきてやった。
………もちろん、
それは俺のかけがえのない仲間たち。
吾郎、マリア、壱の三人だ。
─────…ホーホケキョ!
……どこからか春独特の鳥がさえずり、俺は春の息吹きにそっと目を閉じた。