異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
7・公爵家の愛娘、仲直り大作戦
「ただいまー!」

 公爵家に戻ったロルティは、元気いっぱいに帰宅の挨拶をした。
 大好きなカイブルと一緒に居られるのが、相当喜ばしいようだ。

「わふっ」

 彼女の声を聞いて、ドタバタと後方から足音が響く。
 自室で留守番をしていたジュロドが、大慌てで玄関まで走ってやってくる音だろう。

「カイブルはおにいしゃまに、会ったことある?」
「はい。何度か、言葉を交わしたことがございます」
「そうなんだ! だったら、自己紹介はいらないね!」

 ロルティはニコニコと笑顔を浮かべ、兄がやってくるのを待った。

 まさか、この直後。
 顔を合わせた2人が、あんなことになるなど思わずに……。

「ロルティ!」
「あっ。おにいしゃま!」
「遅かったじゃないか! 心配し……!」
「わふーん!」
「うわっ!?」

 勢いよくカイブルの横から飛び出していった犬が、妹を心配して駆けつけてきた兄を勢いよく押し倒した。

 獣はブルンブルンと嬉しそうに尻尾を振って、ペロペロと頬を舐めている。
 ロルティはそんな自由奔放な新しい仲間の姿を目にして、呆れたような声を出した。
< 112 / 192 >

この作品をシェア

pagetop