異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
10・公爵家の愛娘、今日も皆に愛されています
「酷いじゃないか! 僕を置いていくなんて!」
教団を壊滅させたあと。
公爵家に戻ってきたロルティは、置いてけぼりを食らった兄から激怒された。
「むきゅ……!」
アンゴラウサギはジュロドの大声に怯えたのだろうか。
小さな足をちょこまかと動かし、目にも留まらぬ速さでロルティの胸元へと飛び込んでいく。
「うさぎしゃん! ただいま!」
「きゅう……。むきゅきゅ……!」
「あっ。ずるいぞ! 僕もロルティと、再会を喜び合いたかったのに……!」
「わふん!」
獣に先を越されたと兄が悲しめば、「だったら自分が代わりに慰めてあげる!」とばかりに犬が勢いよくジュロドの胸元へ突撃して行った。
床の上に押し倒された彼は、獣からもみくちゃにされながら悲鳴を上げている。
「う、うわぁ! た、助け……っ!」
「わんちゃんも、おにいしゃまが元気になって嬉しいって!」
「わふ!」
薄情な妹は助けを求める兄に手を差し伸べることなく、ジュロドを見捨てた。
(わんちゃんはおにいしゃまと、じゃれ合ってるだけだもんね?)
アンゴラウサギのふわふわな毛を撫でながらそう考えていたロルティは、やや距離をとって兄妹を見守るカイブルがジュロドに同情の視線を投げ掛けていることに気づくことなく、ニコニコと笑顔を浮かべた。
教団を壊滅させたあと。
公爵家に戻ってきたロルティは、置いてけぼりを食らった兄から激怒された。
「むきゅ……!」
アンゴラウサギはジュロドの大声に怯えたのだろうか。
小さな足をちょこまかと動かし、目にも留まらぬ速さでロルティの胸元へと飛び込んでいく。
「うさぎしゃん! ただいま!」
「きゅう……。むきゅきゅ……!」
「あっ。ずるいぞ! 僕もロルティと、再会を喜び合いたかったのに……!」
「わふん!」
獣に先を越されたと兄が悲しめば、「だったら自分が代わりに慰めてあげる!」とばかりに犬が勢いよくジュロドの胸元へ突撃して行った。
床の上に押し倒された彼は、獣からもみくちゃにされながら悲鳴を上げている。
「う、うわぁ! た、助け……っ!」
「わんちゃんも、おにいしゃまが元気になって嬉しいって!」
「わふ!」
薄情な妹は助けを求める兄に手を差し伸べることなく、ジュロドを見捨てた。
(わんちゃんはおにいしゃまと、じゃれ合ってるだけだもんね?)
アンゴラウサギのふわふわな毛を撫でながらそう考えていたロルティは、やや距離をとって兄妹を見守るカイブルがジュロドに同情の視線を投げ掛けていることに気づくことなく、ニコニコと笑顔を浮かべた。