異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
父は娘の為に(ジェナロ)
「ロルティはどこだ」
「む、むきゅ……」
アンゴラウサギはぶんぶんと小さな身体を震わせながら「知らない」とか細く鳴くと、彼の問いかけに応えた。
それを耳にしたジュロドは、神獣の監視を担当しているメイドに視線で同じ質問を訴えかける。
青白い顔をした使用人もまた、これ以上彼を刺激しないように怯えながら言葉を紡いだ。
「お嬢様と坊っちゃまは、中庭で陰干ししている毛を回収しに向かいました……」
彼は不満そうに舌打ちすると、無言で2人の部屋を立ち去った。
――ジェナロ・ハリスドロアにとってロルティ・ハリスドロアは、自らの命を犠牲にしたとしても必ず守らなければならない愛娘である。
だからこそ、自身が会いたいと願った時に彼女が見当たらないと言うのは彼にとっては強いストレスを感じることであった。
(ジュロドと一緒なら、再びこの屋敷から姿を消すことなどないとは思うが……)
ジェナロは恐れている。
せっかく再会できた愛娘が、再び神殿に奪われることを。
「む、むきゅ……」
アンゴラウサギはぶんぶんと小さな身体を震わせながら「知らない」とか細く鳴くと、彼の問いかけに応えた。
それを耳にしたジュロドは、神獣の監視を担当しているメイドに視線で同じ質問を訴えかける。
青白い顔をした使用人もまた、これ以上彼を刺激しないように怯えながら言葉を紡いだ。
「お嬢様と坊っちゃまは、中庭で陰干ししている毛を回収しに向かいました……」
彼は不満そうに舌打ちすると、無言で2人の部屋を立ち去った。
――ジェナロ・ハリスドロアにとってロルティ・ハリスドロアは、自らの命を犠牲にしたとしても必ず守らなければならない愛娘である。
だからこそ、自身が会いたいと願った時に彼女が見当たらないと言うのは彼にとっては強いストレスを感じることであった。
(ジュロドと一緒なら、再びこの屋敷から姿を消すことなどないとは思うが……)
ジェナロは恐れている。
せっかく再会できた愛娘が、再び神殿に奪われることを。