日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
お茶会
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「ライナー、前にも話したのだけれど、あなたの奥様とお茶会が開きたいのよ。どうかしら?」
そう聞いてきたのはリリーナ嬢だ。
「王太子妃様、妻はあまり部屋から出たがらないのです。ですので難しいかと……」
「ライナーったら、まだ王太子妃では無いわ。婚約者よ」
「ですが、来月には王太子妃様になられます」
「確かにそうね。でもまだリリーナ嬢でお願いね」
「分かりました」
「それにしてもライナーの奥様はお体でも悪いの?」
「そういうわけでは無いのですが……」
「それなら聞くだけ聞いてみてちょうだい。ここではお友達が作れないし、寂しいのよ」
「分かりました。聞いてみます」
俺は陛下と話をしてから、我が妻が妖精の少女だったのでは?と、思いながらもそれを聞けずにいた。今まで冷たく接してきて、今更どうアメリアと接したら良いのか分からなかった。しかしこの茶会はチャンスなのでは無いか?アメリアとゆっくりと過ごし、会話をするチャンスなのでは……。
俺は屋敷に帰ると、早速アメリアの部屋へと向かった。しかしアメリアが俺に会ってくれることは無かった。
アメリアは俺と会うことを拒絶している。
当たり前か……。
結婚してからこうして部屋に訪れるのは初めての事。
顔をあわせれば喧嘩ばかり……。
俺は自室に戻りアメリアに手紙を書いた。今まで放置をしてすまなかったということ、これからは喧嘩などせず、優しく接するということ、これからは少しずつでも距離を縮めていきたいこと、それからリリーナ嬢からのお茶会の誘いがあることを手紙に書いた。この手紙を受け取ってくれると良いのだが……。そう思いながら手紙をアメリアの専属侍女に手渡した。
後は返事を待つだけだ。
そう思っていると次の日には手紙の返事が返ってきた。
その内容を見て、俺は歓喜で震えた。
距離を縮める事に対し、譲歩すると書いてあったのだ。これで一歩前進だろう。そして、お茶会にも参加すると記されていた。
俺は安堵から、大きく息を吐き出した。
「良かった……」