日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
変化
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王城からの帰り道、馬車に揺られながら俺はアメリアを見つめた。
スッと前を向き、こちらを真っ直ぐに見るその瞳は澄んでいて、星をちりばめたような藍色をしている。
俺の妻は美しいな……。
アメリアはずっと不甲斐のない俺達を影から助けてくれていたのか……。
きっと幼少期から彼女は俺達を守ってくれていた。
あの妖精との出会いは、偶然では無かった。アメリアは俺達の側にずっといた。
そこで俺はあることに思い当たる。
そうなると、アメリアは俺がリリーナ嬢に好意を抱いていたことに気づいていた?
その時、サーッと俺の体から血の気が引いた。
アメリアはどんな思いで俺の隣に立っているんだ?
結婚式でのアメリアはどんな様子だった?
結婚式を終えた後はどうだった。
屋敷での様子は?
俺はアメリアの何を見ていたんだ?
何も見ていない。
見えていなかった。
ドクンッドクンッと心臓が大きな音を立てる。今まで経験したことの無い、心臓に動きに体が対応出来ずに胸元を鷲づかみにした。息苦しさで胸を押さえていると、従者が屋敷に着いたことを知らせてきた。俺は先に馬車から出ると、冷静を装いアメリアをエスコートするべく、右手を差し出す。すると俺の手の上にアメリアの手がのせられた。その手はひんやりと冷たく、少しだけ震えていた。
どうしたのだろう?
寒いのか?
そう思った時、アメリアの体がグラリと崩れた。俺はそんなアメリアの体を咄嗟に支える。
「アメリア!どうした?大丈夫か?」