日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
影としての役目
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アメリアの結婚式より数年前に遡る。
私アメリア・キャンディスはお城に住んでいる。しかし私は王女では無い。お城に住んではいるが、私が暮らしているのはお城の地下部分。この城の地下に、住居空間があることを知る人は、ほんの一握り。王族と、その重鎮達だけ。
私達キャンディス家は王族を守る影。
すぐにでも動けるようにいつだって側にいる。そのために地下で暮らしている。意外とこの地下は居心地が良い。普段影として隠れ、人に見つからないように動く私達が、唯一隠れる必要の無い場所だからだ。自分達しか入って来れない空間があるのは最高だ。しかも地下の居住空間の更に下には鍛練場も完備している。最高の施設で私は鍛練を続けていた。この時、アメリアは15歳になったばかりだった。
「アメリアお嬢様、そろそろ終わりにいたしましょう」
私の前で木剣を手にしていたシャルルが、汗を拭いながら声を掛けてきた。
「そうね。今日はここまでにしましょう。学園に遅刻でもしたら大変だもの」
朝の鍛練を終わりにした私は、王立学園の制服に袖を通した。
「今日もひっそり殿下達の護衛を頑張りましょう」
そう言うと、隣にいたシャルルが頷いた。
王立学園に馬車が到着すると、アメリアは扉が開く前に自分に魔法を掛ける。
「隠蔽」