日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
影としての役目


 ***

 アメリアの結婚式より数年前に遡る。

 私アメリア・キャンディスはお城に住んでいる。しかし私は王女では無い。お城に住んではいるが、私が暮らしているのはお城の地下部分。この城の地下に、住居空間があることを知る人は、ほんの一握り。王族と、その重鎮達だけ。

 私達キャンディス家は王族を守る影。

 すぐにでも動けるようにいつだって側にいる。そのために地下で暮らしている。意外とこの地下は居心地が良い。普段影として隠れ、人に見つからないように動く私達が、唯一隠れる必要の無い場所だからだ。自分達しか入って来れない空間があるのは最高だ。しかも地下の居住空間の更に下には鍛練場も完備している。最高の施設で私は鍛練を続けていた。この時、アメリアは15歳になったばかりだった。

「アメリアお嬢様、そろそろ終わりにいたしましょう」

 私の前で木剣を手にしていたシャルルが、汗を拭いながら声を掛けてきた。

「そうね。今日はここまでにしましょう。学園に遅刻でもしたら大変だもの」

 朝の鍛練を終わりにした私は、王立学園の制服に袖を通した。

「今日もひっそり殿下達の護衛を頑張りましょう」

 そう言うと、隣にいたシャルルが頷いた。


 王立学園に馬車が到着すると、アメリアは扉が開く前に自分に魔法を掛ける。

隠蔽(いんぺい)


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