日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
魔王再び

 ***

 アメリアがバルコニーから飛び出すのを見て、俺は不安からアメリアの名を呼んだ。

「アメリア!」

 アメリアはこちらを振り返り、口パクで俺に言葉を返してくれた。『大丈夫です』と……。その顔にはこちらを気遣うような、優しい微笑みが貼り付けてあった。しかしその裏に不安が見え隠れしている。きっと恐怖と不安でいっぱいのはずだ。前回の魔王とは比べものにならないほどの圧倒的な魔力。あんな化け物を前にして恐怖を感じない者など、この世界にはいないだろう。

 今の俺に何が出来る?

 アメリアの助けになれることは何だ?

 俺は必死に今、俺に出来うることを考えた。

 そうだ。

 あれを……。

 俺はアーサー殿下に駆け寄り、自分の出来ることに専念した。



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