日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
幸せの先


 ***

 魔王討伐から数日後、私達は王城の大広間に呼ばれていた。そして大広間には、国を担う重鎮達のみ集められていた。

 それというのも魔王討伐の一件で、アメリア達の存在が知れ渡り、城下はうわさで持ちきりらしい。新たなヒーローの誕生だとでも言うような騒ぎだと教えられた。あまり騒ぎになると今後の仕事に支障を来すため困ってしまうのだが、収拾がつかないところまで来ていると言うことだった。そのため一ヶ月後に、影のお披露目の場として夜会を開くとのことにしたとか……しかし私達は影である。あまり人前に出ることは避けたい。

 どうしたものかと皆が首を捻っていたのだが、何せ目撃者が多すぎた。あの日、多くの貴族達がアメリア達影に助けられ、命を救われた。そんな貴族達が光輝く聖剣を振り上げ、勇敢に戦うアメリアを戦場の女神と崇めているらしい。宗教化しそうな勢いのため、これ以上騒ぎが大きくなるのを避けるために、夜会を開くらしい。

 やっかいだな……何て思っていると、ライナー様の眉がハの字に寄ってしまう。

「アメリア大丈夫か?すまない……俺達が不甲斐ないばかりにアメリア達に迷惑を掛ける」

「いえ、その様なことはありません。私達も精進せねばと思わされた一件でした。今後は姿を現すこと無く、影として仕事を邁進して参ります」

 ニコリとライナー様に笑顔を見せてから、陛下に向き直る。

「陛下にも謝罪申し上げます。このような事態になってしまったこと、申し訳ありません。この後は影として、この国をお守りいたします」

 私達影は、陛下達に向かって膝を付き頭を下げた。

 それを見た陛下は目を細めながら微笑んだ。それからすぐに真剣な顔に戻り、威厳たっぷりに声を上げた。

「影達よ。今回()良くやってくれた。そなたらは、この国の真の英雄といえよう。今後もこの国のため尽力を着くいて欲しい。この国の影に栄光あれ!」

 陛下が両手を広げ、広間にいた人々に同意を求める。すると大きな歓声と共に、重鎮達が手を叩いて賛同した。

「この国に栄光を!」

「英雄の誕生だ!」

「影に光りあれ!」



< 95 / 104 >

この作品をシェア

pagetop