御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語

彼女

なんで、どうして……?


突然だが、私がホテル9(クー)との営業を担当することになってしまった。




日本に拠点を移す前から、圭衣と事業拡張を考えていた。元々は働く女性層をターゲットに設立したCool Beautyだが、圭衣が私たち妹のウエディングドレス候補のデザインを描いたのが始まり。


圭衣が大学生の頃から描き始めたウエディングドレス候補のデザイン。今ではかなりの枚数になっていて、どれも素敵なものばかり。はっきり言って、そのまま眠らせるのはもったいない。


そんな訳で、この宝を活かすためにウエディング衣装に伴い、男性服も扱うことに。それと同時に企業向けユニフォームも開始した。そして、この企業ユニフォームの第一号顧客がホテル9(クー)……、九条仁社長。



西園寺家で行われた両家顔合わせのバーベキューで、圭衣が九条さんとその場でアポを取り付けた。なぜかその担当に私がなってしまう。


圭衣曰く、「新しいウエディング部での第一号顧客。しかも有名ホテルということと、これから親戚付き合いにもなるし。だから一般社員ではなく副社長の葉子」


なんか腑に落ちない理由だな。でも社長の圭衣に言われちゃったら、従うしかないもんね……、だって圭衣は私が九条さんを避けているなんて知らないはず。なんか意図的に私と彼をくっつかせようとしているのは、気のせい? 私は元彼との別れた理由を美愛にはもちろん、一緒にアメリカで生活していた圭衣にも伝えていない。


ハァ〜、気が重いよ。


仕事に徹して、彼を自分のテリトリーには絶対に入れない。


久しぶりにまた警笛が鳴り響く。


『この人はキケン、また傷つく』と。


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