御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
はじめの一歩

葉子ちゃんを上手く煽り、付き合う運びとなったのは、3か月だけの条件で。もちろんその前に俺に夢中にさせ、さらに関係を深めるつもりだ。その計画には婚約と同棲も含まれている。


あの日、やっと俺と食事に行ってくれたが、正直言って目を疑った……、いや、仰天した。彼女が選んだレストラン? まさかの牛丼屋。それだけでなく、大盛りプラスのトッピング、味噌汁と漬け物も全て綺麗に平らげた。


あの細身な体のどこに入るんだ?


しかも、黙々と美味しそうな顔で食べながら、時折彼女の囁くような呟きが耳に入る。


「うーん、めっちゃ美味しい」

「これを食べるために、今日も仕事を頑張ったもんね」

「あ〜、幸せ」

「人にご馳走してもらうご飯って、どうしてこんなにも美味しいんだろう。ありがとうございます、九条さん」

「お腹も満たされてきて、大満足」

「ハ〜ァ、九条さんに感謝だ」


ついさっきまで、散々俺のことを罵倒していたのに。こんな可愛らしいことを聞いてしまったら、水に流すしかないだろう。俺の尖っていた心も穏やかになる。まあ、本人は自覚がないんだろうけど。


そんな彼女がとても愛おしく感じられ、つい食べる姿を見つめてしまう。そう言えば、初めて姫ちゃんに会った時も、彼女の心の声が漏れてたっけ? やはり姉妹で同じことをしている。

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