御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語

彼女

バレンタインデーに初めて仁と愛し合って以来、ほとんどの週末の夜、私は彼のホテルの部屋で今でも体の関係を続けている。


相変わらず彼は行為の後、どこかへ行ってしまうみたいだ。私が目を覚ますと、すでにいなくて、彼からのメモも言い訳も一度もない。


やはりこの関係はただの遊び、私は彼の都合のいいセフレなんだろう。食事して、やることやってすぐに去る……、まさにセフレじゃない? 結婚してもこの状況が続くのかな? それに、正式に婚約しても未だに仁のマンションに行ったことがない。


ねぇ、あんたにとってあたしは何なの?


#都合のいいセフレ➕#社会的地位安定の結婚➕#お飾り妻➕#探す必要のない遊び相手 🟰 仁の人生ゲームの便利な駒


頭の中でこの惨めな数式が出来上がった……。


徐々に私の気持ちが冷静さを取り戻しているが、行動がそれと伴わない。仁から離れるべきだとわかっている、でも離れたくない。辛い思いをしていても、私は仁が好きなんだ。それに仁のあの安心できる手が忘れられない。


この婚約は複雑だ。仁の親友たちの中には、美愛の夫である雅さんと、圭衣の恋人である大和さんもいる。お互いの祖父同士が親友であったこともあり、彼らは長年家族同様の付き合いをしている。美愛の婚約を機に、その大家族の輪の中に花村家も仲間入りした。


美愛の幼い頃からの夢が叶った幸せを、壊しちゃいけない。
圭衣の幸せを私のせいで、もう二度と壊しちゃいけない。
一人ぼっちになった私を、本当の娘として育ててくれた父さまと母さまに、迷惑をかけちゃいけない。


私さえ我慢すれば、すべて丸く収まる。




4月中旬に24歳の誕生日を迎えた私に、仁が婚約指輪を送ってくれた。本来ならピアスをもらった時以上の感激や感動があるのだろうが、心から喜べない。


あの時、私はきちんと笑えていただろうか?

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