永遠を糸で縫い留めて

桜の気配

ひとひら 白いものが 伸ばしたゆびさきにふれ 

私は 春に溶けて 消えてしまいそうになる 

以前 あなたに抱かれたのは 冬のはじめだっただろうか 

あれから誰にも この体は 触れられていなかったというのに 

薄紅の花弁に ふれられてしまった

もうすぐ春が来るというのか

桜の気配が うっすらとする
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