永遠を糸で縫い留めて

渡し守

かのひとと別れを告げて 船を漕ぐ


悠久なる時の調べが 私たちを癒してくれるでしょう 


水辺はいつの間にか 夕暮れ色に染まり 次第に濃く深い青へ変わるでしょう


流した涙も いつかはこの川の中へ溶けてゆき 何もなくなります 


私たちが交わした愛も 情も 


すべては 流れ続ける歴史のなかの ほんのひとしずくなのです


まだ薄明るい まだ間に合います


どうか どうか
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