永遠を糸で縫い留めて

足跡に血が滲んでいる 


ひたり ひたりと この黒い森のどこかで音がする


私は彼に気付かれないように そっと そっと歩く


動作は緩慢に だけれど 俊敏に 


彼は黒い影を連れてやってくる 誰にも気付かれてないとお思いか 


獣は誰 昨日別れた恋人か いつか愛したあのひとか 


やがて夜のとばりは満ち 月のひかりが青く頬を撫でる 


透き通った闇色をした泉に顔を映す


そこにうつっていたのは 


べっとりとした血を纏った 獣だった


月を背負って 毛先を銀色に染めた 真っ黒な 
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