永遠を糸で縫い留めて

その紋を目指してここまで歩いてきた


溶けるような夕暮れの 透明な空気の中を


熱い吐息が 霞のように漂う戦場を


その葵だけが 生きる先の目印だった





今その紋は天の真下にある


赤い花 白い花が少しかすれた手触りの花弁を持って


陽光を照り返しながら咲いている


その紋の持ち主は 微笑んでいただろうか 悲しんでいただろうか 

< 303 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop